□ R02年09月期 A-18  Code:[HH0514] : 5/8波長垂直接地アンテナの特性と、1/4波長垂直接地アンテナとの比較
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3209A18 Counter
無線工学 > 1アマ > R02年09月期 > A-18
A-18 次の記述は、5/8波長垂直接地アンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、大地は完全導体とする。
利得は1/4波長垂直接地アンテナより高い。
頂部付近で電流分布が最大になる。
入力インピーダンスは、1/4波長垂直接地アンテナより高い。
水平面内の指向性は、全方向性である。

 この問題の初出はR02年9月期です。自分で解いてみて、間違えました。なので、最初から言い訳じみていて申し訳ありませんが、(私が持っている範囲でですが)アンテナの参考書を見ても、5λ/8の垂直アンテナについて、詳細に述べられたものはなく、以下に挙げましたような方法で、「推測」している部分が大半です。
 そのため、誤っている内容もあるかも知れませんので、ご注意下さい。なお、きちんと数式で説明できるようになりましたら、内容を修正します。

[1]ある長さの垂直接地アンテナの特性を問われたら

 垂直接地アンテナというのは、その2倍の長さの(中央部給電の)「ダイポールアンテナの半分を垂直に立てたもの」と考えることができます。
Fig.HH051_a 垂直接地アンテナの考え方
Fig.HH0514_a
垂直接地アンテナの考え方
 なので、知らない長さの垂直接地アンテナの特性を問われたら、それが片側のエレメントである水平ダイポールアンテナの特性を考えます。
 しかし、そもそもここで、λ/2以外の長さのダイポールアンテナについて知らないと解けません。なので、「長さがλ/2でない」ダイポールについて、知識を得ておく必要があります。
 とはいえ、アンテナの専門書には、電流分布など、面倒な級数展開したような多項式が延々と書かれていて、無線工学の勉強だけにそんな本を紐解くのは現実的ではありません。
 そこで、以下では、全く感覚的ではありますが、λ/2より長いダイポールアンテナはどんな特性になるのか、簡単に説明してみたいと思います。中には、天下り的で根拠薄弱なものもあるかと思いますが、追々補強するつもりです。

[2]電流分布と指向性

 アンテナの放射エレメント上の電流分布と、そのアンテナの指向性には密接な関係があります。片側がλ/4のダイポールでは、給電点付近の電流が最も大きく、エレメントの先端に行くに従って減少する、正弦波形の分布であることが知られています。このような給電を「電流給電」と呼びます。片側がλ/2のダイポールでは、給電点付近は電流が最小(その代わり電圧が最大)となります。これは、電圧給電と呼ばれています。
 指向性ですが、様々な長さのダイポールアンテナの指向性につき、波長に対する長さによって、以下のように計算されています(参考文献1)。
 ・λ/2(片側λ/4)…(ご存知)8の字特性
 ・1λ(片側λ/2)…ビーム幅が狭まった8の字特性
 ・1.5λ(片側3λ/4)…四つ葉のクローバー形(葉の間に細い副ローブあり)
 ・2λ(片側1λ)…四つ葉のクローバー形(副ローブなし)
アンテナシミュレータをお持ちの方は、計算してみると面白いと思います。
 片側5λ/8は片側3λ/4に近いので、同様の指向性になると考えられます。垂直に立てることを考えると、λ/4垂直接地型よりは打ち上げ角が大きくなる特性です。また、片側5λ/8を垂直に立てたとすると、電流分布の最大位置は、エレメントのかなり上の方に来ます。(参考文献2)アンテナは、電流の大きな位置から電磁波が多く放射されるので、5λ/8垂直接地アンテナでは、エレメントの上部から放射される電波が強い、ということになります。
 エレメントが長い5λ/8アンテナでは、実効的に放射位置が高くなるので、通信には有利、ということが言えるでしょう。

[3]インピーダンス

 電流給電では、インピーダンス(リアクタンスを含む絶対値としての値)は数10 [Ω]程度で、50 [Ω]給電でもさほどミスマッチは大きくありません。電圧給電では、数100 [Ω]にもなるので、マッチングが必須です。では、エレメント長がλ/4から5λ/8に伸びると、RやXはどう変化するのでしょうか?(ちなみにλ/4垂直接地では、R≒36 [Ω]でX≒0 [Ω]でした。)
 頭を柔らかくして考えてみると、周波数f [Hz]で使う5λ/8垂直接地アンテナは、この周波数のλ/4の2.5倍の長さです。逆に言えば、2f/5 [Hz]の周波数で使えば、λ/4垂直接地アンテナとして使える、ということになります。
 ならば、2f/5 [Hz]の周波数で使うアンテナを、f [Hz]で使ったらRやXはどう変化するか、を考えればいい、ということになります。参考文献3には、f [Hz]用のダイポールアンテナをそれより低い周波数で使用した場合の抵抗分Rとリアクタンス分Xのグラフが出ています。このグラフの見方を変え、2f/5(0.4f)を基準に見ると、RもXも大幅に増加することが分かります(リアクタンス分Xは符号が絡むので、特に抵抗分Rに着目)。
 この考え方が定量的に正しいかどうかは分かりませんが、両者とも、値が大幅に変化することは間違いないでしょう。ということは、Z=√(R2+X2)で示されるインピーダンスも、大きくなると考えられます。
 なお、上で「ダイポールアンテナを垂直に立てて、下半分を地面に埋めたと考える」と書きましたが、この過程でインピーダンスは半分になります。さりとて、インピーダンスは相当高いので、50 [Ω]で給電するのであれば、半分になってもマッチングは必須でしょう。

[4]5λ/8垂直接地アンテナの特性をまとめると

 結局どうなるのか、をまとめてみますが、一つだけ、調べてもどうしても手がかりがなかったことがあります。
 それは、利得です。一般的にはエレメント長が長くなれば、最大放射方向の利得は大きくなりますが、5λ/8の時にはどうなるのか、は明確に算出できるものが見当たりませんでした。
 利得以外の項目についてまとめますが、まずは電流分布です。電流の腹の位置は、アンテナのかなり上部に来ます。そのため、高い位置からの放射になります。
 次は垂直面内の指向性です。全長が1ラムダより長いダイポールでは、水平面内が四つ葉のクローバー型になりますので、これを垂直に立てたと考えれば、打ち上げ角は(λ/4垂直接地アンテナに比べて、ですが)かなり高くなるはずです(合っているかどうかは分かりません)。
 水平面内は、言わずもがなですが、無指向性です。
Fig.HH0514_b 5λ/8垂直接地アンテナの特性
Fig.HH0514_b
5λ/8垂直接地アンテナの特性

参考文献1…築地武彦「電波・アンテナ工学入門」p.55 総合電子出版社 2002
参考文献2…遠藤啓二・佐藤源貞・永井淳「アンテナ工学」p.79 総合電子出版社 1979
参考文献3…築地武彦「電波・アンテナ工学入門」p.134 総合電子出版社 2002

それでは、解答に移ります。
 …一般的に、エレメントが長くなれば利得は増えるので、正しい記述です
 …頂部付近ではなく、上部からの放射が大なので誤った記述です
 …入力インピーダンスがλ/4アンテナより高いのは正しい記述です
 …垂直に立てた棒に水平方向の方向性はありませんから正しい記述です
となりますからが正解と分かります。