□ R03年12月期 A-07  Code:[HC0102] : マイクロ波を直接発振する素子の名称
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H3312A07 Counter
無線工学 > 1アマ > R03年12月期 > A-07
A-07 次の記述は、各種ダイオードについて述べたものである。このうち、誤っているものを下の番号から選べ。
ガンダイオードは、ガン効果を利用した半導体素子で、空洞共振器と結合させ、チョーク回路を通じて直流電圧を加えると、共振器の共振周波数で発振する。発振周波数は5〜50 [GHz]と範囲が広い。
インパットダイオードは、電子なだれ現象によってマイクロ波を発生させることができる。ガンダイオードより高出力、高効率で発振するが雑音が多い。
PN接合ダイオードの接合部に逆方向電圧を加え、順方向電流が極めて小さいときに空乏層が接合容量として働き、加える電圧によって静電容量が変化することを利用したものが可変容量ダイオードである。
トンネルダイオードは、トンネル効果を利用したもので、動作速度が非常に速く、負性抵抗領域の遮断周波数も数十 [GHz]と高いので、マイクロ波からミリ波帯の正弦波発振やパルス発振器及び増幅器などに利用されている。

 昔から出ている問題ですが、今回(R3年12月期)、特に選択肢の記述が詳細になったため、改めて収録しました。

[1]マイクロ波帯素子のいろいろ

 マイクロ波を発生・増幅させるデバイスはいろいろありますが、そのうちよく出てくる6つの特徴をまとめてみました。

デバイス 特徴
エサキ(トンネル)
ダイオード
不純物濃度を極めて高くしたPN接合ダイオードで、順バイアスをかけたときに負性抵抗を示す。電圧が上がろうすると、抵抗が増えて電流が減り、電圧が下がろうとすると抵抗が減って電流が増える、という振動がマイクロ波周波数で起こるので、これを発振源として利用する。
ガンダイオード
主に用いられているのがN形GaAsを用いたガンダイオード。負性抵抗を示すガン(Gunn)効果で数 [GHz]のマイクロ波を数100 [mW]のオーダーで発生させることができる。発信周波数は、主にGaAs基板の厚さで決まる。よく見かける例では、野球のスピードガン、速度取締り用レーダー等。
インパット
ダイオード
インパットはIMPATTと書く。ダイオードに高い逆電圧を掛けておき、電子雪崩(アバランシェ)現象を起こしておく。そこにある周波数の高周波を印加した時に、負性抵抗特性が出現することを利用して、発振器を構成する。数100 [mW]〜数 [W]の大電力が得られる。
ガリウム砒素
トランジスタ
シリコンではなく、3-5族の化合物半導体である砒(ひ)化ガリウム(GaAs:通称「ガリ砒素」)を用いたトランジスタ。トランジション周波数が数十[GHz]程度までの高速動作が可能。また、高温に強く低雑音なので、ハイパワーデバイスや高周波増幅段としても利用される。衛星放送受信の高周波段等はほとんどこれ。
クライストロン管
電子管(真空管)の一種。カソードから出た電子が、電界で加速されるが、負電圧のかかった反射電極(リペラー)で跳ね返えされ、後から進んできた電子と相互作用して、電子密度の濃淡ができる(集群作用)。この周波数がマイクロ波領域であるため、発振回路として動作する。応用例はレーダー等。
マグネトロン管
これも真空管の一種。円周上に多数の穴が開いた陽極を、穴に垂直で一様な磁場中に置く。中央の線状の陰極から電子を放射させると、円形の穴が空洞共振器として動作し、マイクロ波が発生する。大電力(〜数 [kW])を得ることができる。身近な応用例は、電子レンジ。

 上記の表の中で、下2つは真空管です。特殊な用途なので出ていませんが、マイクロ波の増幅には「進行波管」という真空管も用いられます。大出力が得られますが、最近ではデバイスの進歩とともに、固体素子化の流れがマイクロ波領域にも及んでいます。
 軍用や航空機用のレーダー等、大出力を高信頼性で得ようという用途には、まだここに挙げたような真空管が用いられているようです(詳しく調べたわけではないので、ウソかも知れません)が、アマチュア用の送受信機ではまずこの手の真空管は使いません。

それでは、解答に移ります。
 …空洞共振器と結合とか、チョーク回路で直流電圧を印加とか、上記に書いていないことが文章になっていますが、これらはどれも正しい記述です
 …インパットダイオードはガンダイオードよりは大出力でマイクロ波を発振可能なので正しい記述です
 …PN接合ダイオードに逆方向電圧を加えているのに、順方向電流が流れることはなく誤った記述です
 …トンネルダイオードは広帯域にわたる負性抵抗を利用し、増幅や発振が可能ですので正しい記述です
となりますから、正解はと分かります。

 今回は、マイクロ波と(必ずしも)関係ないPN接合ダイオードの説明文に明確な誤りがあったので、すぐに見つけられたかと思いますが、これがもし正しい文章であれば、他のマイクロ波発振素子の文章から誤りを見つけるのは、知識がないと困難と思われます。
 この問題の選択肢に出てきた以下のような内容は、今後も問われる可能性がありますので、知識として頭に入れておきましょう。

・ガンダイオード…直流印加で発振する。導波管に結合して出力を取出す。出力はあまり大きくない。研究レベルでは、テラヘルツ(1012 [Hz])波の発振も報告あり
・インパットダイオード…電子なだれを利用しているので、比較的大出力だが、ノイズが多い
・トンネルダイオード…トンネル効果を利用して、発振と増幅ができる。広帯域