□ R04年04月期 A-14  Code:[HF0708] : 受信機の感度抑圧効果が起きる原因とその特徴、軽減法
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05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H3404A14 Counter
無線工学 > 1アマ > R04年04月期 > A-14
A-14 次の記述は、FM受信機の感度抑圧効果について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
感度抑圧効果は、希望波信号に近接した強いレベルの妨害波が加わると、受信機の感度が抑圧される現象である。
妨害波の許容限界入力レベルは、希望波信号の入力レベルが一定の場合、希望波信号と妨害波信号との周波数差が大きいほど高くなる。
感度抑圧効果は、感度低下現象と呼ばれることがある。
感度抑圧効果は、受信機の高周波増幅部あるいは周波数変換部の回路が、妨害波によって飽和状態になるために生ずる。
感度抑圧効果を軽減するには、高周波増幅部の利得を大きくし、また、中間周波増幅器等の同調回路のQを小さくする方法がある。

 普段、QRVしていると、弱い信号を何とか捉えて交信中なのに、近い周波数に急に近隣の局が出てきて肝心の相手が聞こえなくなってしまい…というようなことがあります。強い妨害に感度が下がる現象について、その特徴と防止策を学びます。

[1]感度抑圧とは…その現象と原因

 通常、無線受信機のアンテナ入力の直後には、高周波増幅段(いわゆるフロントエンド)があります。ここは、低ノイズ・低ひずみの増幅が要求される部分なので、回路設計も実装もそれを実現するよう、工夫されています。
Fig.HF0708_a 高周波増幅・周波数変換の入出力特性
Fig.HF0708_a
高周波増幅・周波数変換の入出力特性
 しかしながら、現実の回路は、どんな信号に対しても理想的な増幅ができるわけではありません。
 例えば、入力信号の強度に対しては、Fig.HF0708_aのように、ある入力レベルまではほぼ「線形に」増幅してくれますが、だんだんと特性が「非線形に」なり、ついには飽和してしまいます。
 これは、現実のトランジスタ等の増幅素子が、電源から無限にエネルギーを引き出して信号増幅に使えるわけではないためで、ある意味、当たり前の性質と言えます。小信号用の素子、電力用の素子、それぞれに、物理的制約による「増幅できる信号の強さの上限」が存在します。
 入力が線形領域の範囲に収まるものであれば問題ありませんが、上記で述べたような、近隣の局が近い周波数(高周波増幅段の帯域内)で出現した場合等、その妨害波が希望波に加わって、飽和領域のレベルとなります。
 なお、このグラフでは、分かりやすく線形領域と非線形領域を分けていますが、実際には明確に線引きはできません。
 さて、このグラフで言うと、入力変化に対する出力変化の傾きが利得ですから、飽和領域の信号に対しては、利得が下がります。こうなると、妨害波によって下げられた利得が希望波にも作用しますから、希望波の信号レベルは小さくなってしまいます。
 これが感度抑圧効果で、別名、ブロッキングとか感度低下、とも呼ばれます。
 ご経験された方は感覚的にお分かりかと思いますが、希望波と妨害波の周波数が離れれば離れるほど、妨害波が強くても感度抑圧は起こりにくくなります。これについての定量化のお話は、この後に述べます。
 これまで述べてきたのは、高周波増幅段についてですが、周波数変換段でも同様のことが起こります(厳密には周波数変換の方式による)。

[2]感度抑圧特性の定量化

 この、感度抑圧を受信機のの特性として定量化する方法があります。ここでは、FMでの方法について述べます。
 Fig.HF0708_bは、横軸が希望波の周波数fd−妨害波の周波数fuで、縦軸は「許容できる妨害波レベル」を示しています。
 ここで「妨害波が許容できるかできないか」は、(FMなので)S/Nが一定以上となる希望波+αのレベルを基準とし、周波数差を一定にセットしたら、妨害波のレベルを上げて行き、希望波が抑圧されてS/Nが低下し、一定レベルまで下がった時の妨害波のレベルを許容レベル、と規定しています。
 平たく言えば、どの程度妨害波を強くしても一定のS/Nが確保できるか、が判断基準、ということです。
Fig.HF0708_b 感度抑圧特性の例
Fig.HF0708_b
感度抑圧特性の例
 このグラフは上で述べたような、「希望波と妨害波が周波数的に離れれば離れるほど、感度抑圧には強くなる」現象を定量化したもの、と言えます。
 例えば、グラフからは、希望波の周波数fd−妨害波の周波数fu=-30 [kHz]の周波数差の時、許容妨害レベルが70 [dBμ](約3.2 [mV])と読めます。周波数が離れれば離れるほど、このレベルが上がって行くことも、グラフから読めます。

[3]感度抑圧を防ぐ方法

 入力に強い妨害波が入ってきて、受信に支障がある現象を引き起こすのには、感度抑圧の他にも相互変調や混変調があります。実は、感度抑圧を防ぐ方法も、これらに対する対策と殆ど同じで、以下のようになります。

(1) 高レベルの入力にも直線性を持つ増幅素子を使う
 ある意味、力技ですが、厳しい受信環境にも耐えうる回路を作るとなれば、必要な方法です。無論、実際の装置の設計においては、素子の選定だけではなくプリント基板パターンも含む実装も、大きな影響を持ちます。

(2) 周波数選択性を高くする
 増幅段と周波数変換の段間等に、Qが高い同調回路を使うことで、帯域外の大信号が減衰しやすくなります。1アマでは良く出題されますが、共振回路のQが高いということは、必要以外の周波数を通さない、という性能が高いことに他なりません。

(3) 高周波増幅段の利得を必要最低限にする
 一般に、高周波増幅段の利得は(高感度・高S/Nに繋がるため)高い方がいい、とされていますが、必要以上に大きな利得は、飽和領域に近付くことも意味しています。その意味で、利得と妨害耐性はトレードオフです

それでは、解答に移ります。
この文章は感度抑圧の定義そのものですから正しい記述です
この文章はFig.HF0708_bのような特性のことを述べており正しい記述です
感度抑圧は感度低下とも呼ばれますので正しい記述です
この文章は感度抑圧が起こるメカニズムとして正しい記述です
感度抑圧を防ぐには、高周波増幅段の利得はなるべく抑え、同調回路のQは大きくすべきなので誤った記述です

となります。従って、正解(誤った記述)はと分かります。