□ R04年12月期 A-18  Code:[HG0707] : シリコン太陽電池の構造と動作原理
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3412A18 Counter
無線工学 > 1アマ > R12年12月期 > A-18
A-18 次の記述は、シリコン太陽電池について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 太陽電池の素子に太陽光などの光を照射すると、pn接合部で光は吸収され、そのエネルギーにより電子とホールが励起されて、p側が[A]、n側が[B]に帯電する。
(2) シリコン太陽電池には、発電した電力を蓄える蓄電機能[C]。
(3) シリコン太陽電池は、一般に電池パネル面(pn接合部)の温度上昇に伴い、変換効率が[D]する。

がある 低下
がある 上昇
はない 低下
はない 上昇
はない 低下

 文章

INDEX

[1]光が当たって起電力が生じる理由
  (1) 光が当たっていないpn接合
  (2) 光が当たっているpn接合
[2]シリコン太陽電池の特徴
  (1) 使用されるシリコン
  (2) 発電動作と畜電機能
  (3) 取出せる電力
  (4) 変換効率の温度特性

  解答


[1]光が当たって起電力が生じる理由

 端的に言ってしまうと、太陽電池の原理はフォトダイオードと同じです。pn接合面に光を当てると起電力が発生し、回路を閉じれば電流が流れます。以下の説明は、フォトダイオードとほぼ同じです。

(1) 光が当たっていないpn接合

 まず、pn接合に光が当たっていない場合を考えます。p型半導体では正孔が自由に動ける一方、それと対になる電子は動けません。逆にn型半導体では電子が自由に動けますが正孔は動けません。
Fig.HG0707_a PN接合と光照射
Fig.HG0707_a
PN接合と光照射
 するとどうなるか…p型半導体からは正孔がn型領域まで拡散し、n型半導体では電子がp型領域まで拡散します。この状態をp領域に限って見ると、電子が過剰になっているので、負に帯電しています。逆に、n領域に限って見ると、正孔が過剰になっているので、正に帯電しています。(Fig.HG0707_a上図)
 こうなると、両者の接合面は電子も正孔も殆どない空乏層になり、そこにはn側からp側に向かう電界が存在します。言い方を変えると、n領域はp領域を基準に高い電位にある、ということになります。
 この電位のことを拡散電位ビルトインポテンシャル、などと呼びます。
 光が当たっていないフォトダイオードや太陽電池だけでなく、pn接合があれば必ず存在するもので、整流用ダイオードだろうがLEDだろうが、これが存在しています。

(2) 光が当たっているpn接合

 では、pn接合に光を当てるとどうなるでしょうか。
 光は(電磁波としての)波動の性質と粒子の性質を持っています。光を粒子として見た時のエネルギーの塊を光子と呼び、通常はシリコンの原子1個に対して光子1個が「確率的に」衝突して、光子のエネルギーが十分大きければシリコン原子の最外殻電子を叩き出します。叩き出された電子は自由に動くことができ、電子が抜けた後には正孔ができるので、「光子によって、電子−正孔対が生成した」という言い方をします。
 n領域のシリコン原子に光子が衝突して電子−正孔対が生成した場合、正孔はビルトインポテンシャルに従ってp領域に拡散します。逆にp領域で電子−正孔対が生成すると、電子はビルトインポテンシャルに従ってn領域に拡散します。無論、空乏層にもシリコン原子は存在するので、ここに当たった光子も電子−正孔対を生成します。空乏層で発生した電子と正孔は、各々はビルトインポテンシャルに従ってn領域とp領域に拡散します。
 光が当たり続けていれば、p領域には正孔が多くなり、n領域には電子が多くなりますから、ある程度の所でビルトインポテンシャルがキャンセルされてこのような拡散は起こらなくなるでしょう。

[2]シリコン太陽電池の特徴

 ここまでの話では、太陽電池の両端の端子が開放になっているので、電流が取出せていません。これ以降は、「電池」としてエネルギーを取出すことを考えます。ここからは、フォトダイオードと異なる内容が多くなります。

(1) 使用されるシリコン

 ここまで、太陽電池に使用される材料について、「シリコン」とだけ書いていますが、LSIやトランジスタに使う「増幅機能」を持たせるシリコンとは大きな違いが2点あります。
純度は低くていい
 増幅に使う(不純物をドープする前の)シリコンには、テンナイン(99.99999999 [%] 9が10個)やイレブンナイン程度のものを使いますが、太陽電池に使うシリコンはこの1/1000程度の純度(9が7個程度)でよいとされています。理由は(想像ですが)、増幅には特性をコントロールするため、ドーパント(ドープされた原子)の濃度が正確にコントロールされたシリコンが必要ですが、太陽電池では電子−正孔対の生成が、不純物濃度にあまり関係なく起こるからではないかと思います。
単結晶はあまり使われない
 LSIやトランジスタに使うシリコンは、ほぼ間違いなく単結晶シリコンですが、太陽電池では多結晶やアモルファスが多く使われます。

(2) 発電動作と蓄電機能

 太陽電池のpn接合面に光を当て続け、回路を閉じると[1]の(2)で述べた、光子による電子−正孔対の生成が連続的に起こり、なおかつ、電子や正孔が流れ出る経路があるので、(光の当たっている間は)電流を取出せます。これによって光のエネルギーを電気のエネルギーに変換する「発電」が実現するわけです。
 但し、光がなくなればすぐに電子−正孔対の生成も止まるので、蓄電池のように電力を蓄えておく機能はありません。夜中でも電力を得たければ、昼の間に蓄電池と組合せて充電しておく必要があります。
Fig.HG0707_b Si太陽電池の特徴
Fig.HG0707_b
Si太陽電池の特徴

(3) 取出せる電力

 取出せる電流は、ほぼ光の強さに比例します。これは、光子1個が1組の電子−正孔対を生成することと、光子の数が光の強さに比例していることを合わせて考えれば、明確です。
 太陽電池1個の両端を開放した時に生じる電圧を開放電圧、短絡した時に流れる電流を短絡電流といいます。ある光の強さの下で、これ以上上がらない電圧、これ以上流せない電流と考えられます。出力が開放や短絡では電力を取り出すことはできませんから、電圧×電流が最大になる負荷条件で用いるようにします。
 なお、日本付近の緯度では、太陽光を電力密度に換算すると、1 [kW/m2]程度と言われています。1枚の太陽電池セルの面積を10 [cm]×10 [cm]とすると、効率が20 [%]あっても2 [W]しか得られません。そのため、屋根の上に載せたりメガソーラーに用いたりする太陽電池パネルは、多くの太陽電池セルを並べ、それらを直列、並列に接続して、さらに複数枚のパネルを並べて大電力を得ています。

(4) 変換効率と温度特性

 太陽電池の変換効率は、入ってきた光の全エネルギーに対して得られた電気エネルギーの比率のことを言います。これを決める要因は様々です。例えば太陽の光を使う場合、太陽光(白色光)はさまざまな波長(≒色)の光を含んでいますが、pn接合は波長によって光子1個に対して電子−正孔対を何個生成するか(の確率)が異なります。従って、白色光を入射する場合には、その光のスペクトルと太陽電池側の「どの波長でどれだけの電流が得られるか(分光感度といいます)の、波長ごとの積を積分する必要があります。
 また、変換効率は温度が1 [℃]上がると効率が0.5 [%]程度低下すると言われており、真夏の屋根の上の太陽光パネルが80 [℃]くらいになっている時と、冬晴れで10 [℃]くらいの時を基準に比較すると、真夏の方が(日照量が同じなら)35 [%]も電力が少ない計算になります。無論、冬は太陽高度が下がるので、その分日照量が小さくなることは勘定に入れない比較の話です。

それでは、解答に移ります。
pn接合に光を当てるとp型の方に正孔が集まりますので、に帯電することになります。
(Aが正ならこちらは負ですが)pn接合に光を当てるとn型の方に電子が集まりますので、に帯電します。
シリコン太陽電池単体には、蓄電機能はないです。
太陽電池パネルの温度が上がると、通常、変換効率は低下します。
となりますから、正解はと分かります。