□ H26年08月期 A-17  Code:[HG0602] : スイッチング電源回路の定電圧制御法と特徴、回路トポロジー
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01/11 12月期問題頁掲載
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10/17 09月期問題頁掲載
H2608A17 Counter
無線工学 > 1アマ > H26年08月期 > A-17
A-17 次の記述は、スイッチング電源回路について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 代表的な方式は、出力電圧と基準電圧を比較して、その誤差信号に応じてスイッチングのオン、オフの[A]を制御することにより、平均出力の定電圧制御を行う。
(2) スイッチング電源回路は、制御形電源回路と比べ、効率が[B]。また、原理的に雑音が[C]。


時間 悪い 出にくい
時間 良い 出やすい
振幅 悪い 出やすい
振幅 良い 出にくい

 近年、省エネや携帯機器のバッテリー寿命の観点から、これまでよく出題されてきた連続制御形電源(シリーズ電源、シャント電源)は、通常、効率が悪い(=発熱が多い)ため、一部の超低ノイズ回路を除いて、殆ど使われなくなりました。
 はじめに、安定化電源の簡単な原理をおさらいして、スイッチング電源について調べて行きます。(なお、ここでは「定電圧」電源を取り上げます。世の中には二次電池の充電用に「定電流」を供給する電源もありますが、特殊なので触れません。)

[1]電圧を安定化する方法

 一般に、電子機器の電源入力として、電池や商用交流などの不安定な電圧の電源がある一方、内部では、電源や負荷、周囲温度等が変動しても正確な電圧を供給し続ける電源が必要です。例えば、最近のパソコンやスマートフォンに用いられているCPUや大規模FPGAでは、演算負荷(=消費電流)の如何に関わらず、電源電圧をmVオーダーの変動に抑えなければならない仕様になっているものも珍しくありません。
Fig.HG0602_a 「電源を安定化する」とは
Fig.HG0602_a
「電源を安定化する」とは
 無線機ももちろん、周波数の安定やスプリアス抑止などのために、安定化電源が必須なわけですが、そもそも、不安定な電源電圧を安定化するというのは、どういう原理によるのでしょうか?
 Fig.HG0602_aがその簡単な原理図です。図で描くと簡単すぎて拍子抜けですが、出力の電圧を基準電圧と比較して、その誤差によって制御回路を駆動して出力の変動が逆になるようにし、基準電圧との差がゼロになるように制御する、という動作です。つまり、定電圧回路とは、ネガティブフィードバック(負帰還)を行う制御回路の一種です。
 これは、従来型の制御形電源でも最新のスイッチング電源でも、原理として変わるところはありません。
 シリーズ電源では、入力と出力の間にパワートランジスタ等の素子が直列に入り、その素子に流れる電流を、出力と基準電圧との差に基づいて制御し、出力電圧を調整しています。過去には、H1504A17のような問題で、その動作が出題されています。

[2]スイッチング電源とは

 それでは、スイッチング電源とは、どんな仕組みでフィードバックを行い、電圧を安定化させているのか、見て行きます。
 Fig.HG0602_bにごくごく簡単なスイッチング電源のモデルを描いてみました。回路図中の抵抗やコンデンサは記号の通りの部品ですが、スイッチとして描かれているものは、メカニカルなものではなく、パワーMOS FET等の高速動作する半導体スイッチと考えて下さい。(SWはバイポーラトランジスタでも構いませんが、パワーMOS FETに比べて損失=発熱が大きいのと、高速動作に難があるので、現実には殆ど使用されません。)
 また、スイッチドライバは、この半導体スイッチをON/OFFするパルスを発生させる回路で、出力が基準電圧より低い時に一定時間のONをスイッチに指示するものとします。
 負荷が接続され、コンデンサに充電されていた電荷が放電して減ってくると、出力電圧が下がってきます。出力が基準電圧以下になると、スイッチドライバがSWをONにするため、入力側から電流が供給されて、負荷に供給されるとともにコンデンサにも充電されるため、出力は上昇します。これを、仮に充電モードと呼びます。
 一定時間経つとスイッチがOFFになり、再びコンデンサに蓄えられた電荷から、負荷に電流が供給される動作に移ります。これを、仮に放電モードと呼びます。
 つまり、この回路は、出力の電圧値を監視しながら、SWを適宜ON/OFFしてCを充放電し、出力電圧が一定値以下にならないようにしている、という動作をしているわけです。
Fig.HG0602_b 簡単なスイッチング電源
Fig.HG0602_b
簡単なスイッチング電源
(図では、出力電圧に大きなリプルがあるように見えますが、誇張して描いているためで、実際にはON/OFFは負荷変動に対して十分短い周期で行われるので、ほぼ一定電圧になります。)
 負荷が軽い(出力電流が小さい)時は放電に時間が掛かるので、次にSWがONになるまで時間が掛かります(図の右上)が、負荷が重く(出力電流が大きく)なれば、コンデンサはすぐに放電してしまいますから、ON/OFFが頻繁に繰り返されるようになります(図の右下)。つまり、負荷が重いか軽いかによって、ON/OFFの周波数が変化します。
 ここまでの説明では、「出力が基準電圧を下回ったら、一定時間SWをONにする」としていたので、このように周波数が変化する動作になりますが、「ON/OFFの周波数は一定にしておき、負荷の軽重に応じて(出力電圧が回復するまで)ONにする時間を可変にする」つまり、デューティー比を可変にする、という動作でも同じことが実現できます。
 このように、スイッチング電源は、電気エネルギーを蓄えることができる素子に、充放電を切替えることで出力電圧を一定に保つ、という動作を行うものだ、ということが分かります。
 そして、その切替わりは、負荷の重い・軽いに応じて臨機応変にデューティー比が変化する、パルス幅変調(PWM)である、ということです。

[3]実際のスイッチング電源

 実は、Fig.HG0602_bの回路は原理説明のもので、実際にこの方式の回路が使用されることはほとんどありません。お気づきの方もおられると思いますが、電流の流れる経路に抵抗が入ってしまっています。この抵抗は、SWがONになった瞬間の、コンデンサへの突入電流を抑える(これがないと半導体スイッチが過電流で破壊してしまう)ものですが、こんなものがあると、充電モードの間は発熱してしまい、エネルギーが無駄に使われてしまいます。おまけに、この回路ではどう逆立ちしても、入力より高い電圧は出せません。
 上で、「エネルギーを蓄えることができる素子」と書きましたが、意図的に「コンデンサ」と書いていないのは、他にもそういう素子があるからです。高速にエネルギーが蓄積、放出できて、それ自身のエネルギー消費が(理想的には)零である素子は、インダクタ(コイル)です。これをうまく使って、同じような動作(スイッチングで一定電圧を作り出す)ができないか、考えた人がいたわけです。

Fig.HG0602_c 実際のスイッチング電源回路
Fig.HG0602_c 実際のスイッチング電源回路

(1) インダクタを直列に入れてみた

 Fig.HG0602_cの回路1のように、単純にスイッチと負荷の間にインダクタLを入れてみただけです。SWがONの間に電流が流れてLにエネルギーが蓄積され、うまく行きそうな感じもしますが、SWがOFFになった瞬間に問題が起こります。SWがOFFの状態では、Lの片側が浮いた(どこにもつながっていない)状態になります。
 電気物理の項で学んだように、Lに電流が流れている状態で、その電流を瞬時にカットオフ(Lがコイルとして生じている磁束がゼロに)しようとすると、Lはその両端の電圧を(原理的には)無限に上げて、今までと同じ電流を「流そうと」します。つまり、スイッチ素子の両端に高電圧がかかるので、素子が破壊されてしまいます。これでは使い物になりません。

(2) 電流が不連続にならないようにしてみた

 それならば、と、Fig.HG0602_cの回路2のように、排他的に動作するスイッチSW1とSW2を用意します。SW1がONの時にLに電流を流して磁気エネルギーを蓄え、SW1をOFFにすると同時にSW2をONにして電流が途切れないようにするとともに、インダクタに蓄えたエネルギーを負荷に放出するようにします。これなら、インダクタに流れる電流は不連続にならないので、素子を破壊するような起電力も生じないように思えます。
 ところが、これでもまだ駄目です。SW1とSW2は別の半導体素子なので、ばらつきもあり、「完全に同時に」一方をONに、他方をOFFに、という動作させることはほぼ不可能に近いことです。
 そうすると、何が起こるか。例えば、SW1がONになる時、SW2がわずかに(と言ってもnsからμs単位のことですが)OFFになるのが遅れ、ONにとどまったとします(半導体デバイスを扱われた方なら、完全にONやOFFの飽和状態になる前の、線形な動作領域が時間的にオーバーラップした、とご説明した方が良いかもしれません)。
 これはとりもなおさず、SW1とSW2が両方ONになっているということですから、入力が短絡されているのであり、いわゆる貫通電流という大電流が流れてSW1とSW2に使用している素子を破壊してしまいます
 逆に、SW1とSW2が両方OFFになる時間が生じたとすれば、それは回路1でSWがOFFになったのと同じ事が起こるので、これも素子が破壊されてしまいます。

(3) 片方のスイッチをダイオードに置き換えてみた

 さらに工夫して、回路2のSW2をダイオードDiに置き換えたものがFig.HG0602_cの回路3です。これなら、SWが電流を切断しようとしてLが高電圧を発生しようとしても、ダイオードが導通を開始して順方向に電流を流し続けるので、Lに流れる電流は不連続にはならない、ということになります。
 しかも、Lに蓄積された磁束のエネルギーが負荷に供給され、出力電圧が低下してSWが再びONになった瞬間には、入力側から見れば、負荷とスイッチの間に入っているLが電流制限してくれるので、突入電流は流れず、制限抵抗は不要です。
 しかし、SWをONにした瞬間にLに流れ込もうとする電流が不連続現象であることは本質的に避けられないので、Lの両端にはSWの動作に伴い、ノイズが生じます。これは、出力側には不要なノイズでしかありませんから、Lの後段にCを入れてノイズフィルタを構成します。つまり、ノイズとなる高周波電流はDi, L, Cからなるループの中に閉じ込めてしまい、負荷側に放出されないようにするのです。
 しかし、これでもDiの順方向に電圧降下(Siなら約0.7 [V])があるため、DiがONになっている間は、順方向電圧×電流×デューティー比が損失(熱)になります。

[4]スイッチング電源の特徴

 電源にはご存知のように、電圧を可変にしたり、入出力側に繋がる回路を保護したり、まだまだ多くの機能・性能が必要とされます。この程度では全く商品にはなりませんが、ここではこれまでにとどめ、スイッチング電源と制御形電源(アナログ電源と呼んでもいい)との特徴を比較をします。

(1) メリットその1…高効率

 これまで見てきた通り、入力から出力に至って戻ってくる電流経路上に、抵抗は存在しません。入力エネルギーを、原理上は損失のないインダクタという受動素子に貯めて、使った分だけ取り出しては補充する、という動作だからです。
 一方、制御形電源では、トランジスタが可変抵抗の役割をして、入力電力のある部分を連続的に熱に変換する代わりに、残りを安定化して電圧を得ていました。例えば、入力が約+10 [V]で出力が+3.3 [V], 5 [A]容量のシリーズ電源では、(制御部分の電力を無視すれば)入力側も5 [A]流れます。電力で考えると入力が50 [W]、出力が16.5 [W]で、効率はほぼ33 [%](67 [%]の33.5 [W]は熱として捨てる)ですが、スイッチング電源で効率重視の設計をすれば、90 [%]を超えることも可能です。
 このことは、大電力を扱う電源でも放熱器が小さくて済む(先の計算例では、発熱が約1.8 [W]になる)ことを意味しており、小型軽量化にも繋がります。
 但し、非常に微小な電力しか必要のない電源の場合、スイッチング電源では、スイッチングに使用する電力の方が大きくなってしまうため、制御形電源の方が有利なケースもあります。

(2) メリットその2…昇降圧・正負電圧が自由自在

 上で見た回路は、降圧回路(入力電圧>出力電圧)でしたが、回路構成を工夫すれば、昇圧回路(入力電圧<出力電圧)も構成可能です。さらに、正負を反転させた電源(+10 [V]から-5 [V]を作り出す)回路も作れるので、電池駆動でも、負電源が必要な機器を動かすことができます。
 制御形電源では、常に、入力電圧>出力電圧でなければなりませんし、それ単独では正の電圧から負電圧を作り出すことはできません。

(3) デメリットその1…回路が複雑、設計が難しい

 スイッチング電源は、負荷や入力の変動に応じて、スイッチ素子を高速に制御しなければなりません。加えて、この後に述べるスイッチングノイズの問題もあり、大変設計が厄介です。最近では、専門メーカーが、回路を丸ごとパッケージ化したICやモジュールを製品化していますので、必ずしもそうとも言えませんが、設計に、より高度な技術を要することは確かです。ことに、インダクタを外付けにする場合、その巻き方やコアの材質の選び方一つで、性能が変わってくるほど、設計はノウハウの塊です。

(4) デメリットその2…ノイズが多い

 ここでいうノイズとは、入出力電圧に重畳されてくるもの、空間に放射されるものの両者を指します。本質的に、流れている電流を切ったり再び入れたりする動作を高速に行うので、過渡現象に伴う、広帯域のノイズの発生が避けられません。導線を伝わってくる伝導ノイズも空間への放射ノイズも(適切な対策をしないと)広帯域、高レベルに出まくります。
 また、電源出力自体にもノイズを含む点について、Fig.HG0602_cの回路3で、フィルタリングのためのCを足す、と書きましたが、この程度では高精度を要求する用途には効果が薄いことが多く、微小信号を扱うセンサ回路や高級オーディオアンプでは、最初にスイッチング電源が選択肢に挙がることはまずありません(特別な低ノイズを謳う製品もありますが、高価です)。
 一方で、アナログ技術である制御形電源は、それ自体がノイズを発するということは殆どありません。

[5]スイッチング電源の回路トポロジー

 スイッチング電源には、非常に多くのトポロジーがあり、それぞれが複雑な要求を満たすように考案されたものです。電圧一つをとっても、降圧か、昇圧か、昇降圧(昇圧も降圧も両方できる)か、極性反転か、等様々な要求があります。この他にも、安全上重要な、入出力間の絶縁等の要求もあります。
 アマチュアの国家試験では、あまり複雑なものは出題されないので、代表的な、降圧型、昇圧型、反転型について、原理的な構造と動作について触れておきます。
Fig.HG0602_d 実際のスイッチング電源の回路トポロジー
Fig.HG0602_d スイッチング電源の回路トポロジー

 Fig.HG0602_dは、その3つの回路トポロジーを並べたものです。MOSFETをスイッチング素子としていますが、制御回路は除いています。図中のダイオードDiは、Siの接合ダイオードの順方向電圧、約0.7Vが効率を低下させる(Diに10 [A]流れるとすると、流れている間は0.7×10=7 [W]の損失が発生する)ので、これもMOSFETにしている(一方がONの時に他方をOFFにする)ものも多いです。これを「同期整流方式」と言いますが、ここでは単純に動作だけを見るので、Diは理想的なものとお考え下さい。
 それでは、以下に、その回路の動作を見て行きます。

(1) 降圧型の回路と動作

 降圧型の回路は一般に、Fig.HG0602_eのようになっています。
Fig.HG0602_e 降圧型の動作
Fig.HG0602_e
降圧型の動作
 SWがONになると、コイルLは電流の変化を妨げるので、一気に電流は流れず、徐々に電流が増加してコンデンサCを充電すると同時に負荷にも電流が流れます。
 インダクタンスL [H]に電流I [A]が流れている時、コイルが蓄えるエネルギーE [J]は、
 E=(1/2)LI2 [J]
で表せます。
 図には描かれていない制御回路が負荷にかかる電圧を監視していて、Lを流れる電流が増加して負荷の両端の電圧が上がってくると、SWをOFFにします。
 SWがOFFになると、Lは(ゼロになろうとする)電流の変化を妨げるため、自ら蓄えているエネルギーを電流に変えて放出し始めます。また、Cも、電圧の変化を妨げようとして、蓄えていた電荷を放出します。これらの働きによって、SWがOFFになっているにも拘らず、負荷に流れる電流はすぐにゼロにならずに済み、しばらくは負荷両端の電圧がある程度維持されます。
 しかし、LやCは、永久機関ではないので、蓄えているエネルギーが減少してくると、負荷を流れる電流も減少し、両端の電圧も下がってきます。すると、今度は制御回路が負荷にかかる電圧をが低下したことを検知して、SWをONにします。あとは、上に書いた状態に戻って、この動作を繰り返します。
 上記は、負荷が一定の場合を想定していますが、負荷が変動しても動作は同じです。負荷が重くなればなるほど、LやCに蓄えていたエネルギーが減少するのが速くなるので、SWがONの時間が相対的に増加します。逆に、負荷が軽くなればONの時間は相対的に減少します。
 このようにして、負荷にかかる電圧が一定になるようにON/OFFのデューティー比を制御するので、定電圧電源として機能するわけです。
 この回路では、電源に対して直列にLが入っていますが、SWがONになった時は電流が増加しようとして、L両端にL(dI/dt)の電圧(この図でLの電源側の端子より負荷側の電圧が低い)が生じて、負荷にかかる電圧は電源電圧より高くはなり得ないため、「降圧型」となります。

(2) 昇圧型の回路と動作

 昇圧型の回路は一般に、Fig.HG0602_fのようになっています。
 SWがONになると、Lは電源にダイレクトに接続された形になりますが、電流の変化を妨げ、今まで流れていた電流を維持しようとするので、突然短絡状態にはならず、電流は徐々に増加して、Lに蓄積されるエネルギーが増加します。Diには電流が流れなくなります。
 一方、(スイッチング動作は繰返しなので、SWがOFFの周期でCが充電されていたと考え)Cは電圧の変化を妨げようとして、蓄えていた電荷を放出します。Cの働きによって、SWがONになって電源から電流が供給されないにも拘らず、負荷に流れる電流はすぐにゼロにならずに済み、しばらくは負荷両端の電圧がある程度維持されます。
Fig.HG0602_f 昇圧型の動作
Fig.HG0602_f
昇圧型の動作
 SWがOFFになると、Lは(ゼロになろうとする)電流の変化を妨げるため、自ら蓄えているエネルギーを電流に変えて放出し始め、Diが導通して負荷方向に電流が流れます。この電流によってコンデンサCが充電されると同時に負荷にも電流が流れます。Lから見ると、SWがONの状態(短絡)から、より電流の流れにくい負荷にスイッチしたことになるので、負荷に流れる電流は徐々に減少します。
 Lに蓄えているエネルギーが減少してくると、負荷を流れる電流も減少し、両端の電圧も下がってきます。すると、制御回路が負荷にかかる電圧をが低下したことを検知して、SWをONにします。あとは、上に書いた状態に戻って、この動作を繰り返します。
 この回路では、電源に対して直列にLが入っていて、SWがOFFになった時に電流が減少しようとして、L両端にL(dI/dt)の電圧(この図でLの電源側の端子より負荷側の電圧が高い)が生じ、これが電源電圧に加算されるため、負荷にかかる電圧は電源電圧より高くなります。なので、この回路は「昇圧型」と呼ばれます。

(3) 反転型の回路と動作

 反転型の回路は一般に、Fig.HG0602_gのようになっています。
Fig.HG0602_g 反転型の動作
Fig.HG0602_g
反転型の動作
 SWがONになると、Lは電源にダイレクトに接続された形になりますが、電流の変化を妨げ、今まで流れていた電流を維持しようとするので、突然短絡状態にはならず、電流は徐々に増加して、Lに蓄積されるエネルギーが増加します。Diには電流が流れなくなります。
 一方、(スイッチング動作は繰返しなので、SWがOFFの周期でCが充電されていたと考え)Cは電圧の変化を妨げようとして、蓄えていた電荷を放出します。Cの働きによって、SWがONになって電源から電流が供給されないにも拘らず、負荷に流れる電流はすぐにゼロにならずに済み、しばらくは負荷両端の電圧がある程度維持されます。ここまでは、ほぼ昇圧型のSWがONの場合と同じです。
 SWがOFFになると、Lは電流の変化を妨げる(同じ方向に電流を流し続けようとする)ため、自ら蓄えているエネルギーを電流に変えて放出しながら、図の下方向の電流を流すので、Diが導通します。この電流によってコンデンサCが充電されると同時に負荷にも電流が流れます。Lから見ると、SWがONの状態(短絡)から、より電流の流れにくい負荷にスイッチしたことになるので、負荷に流れる電流は徐々に減少します。
 Lに蓄えているエネルギーが減少してくると、負荷を流れる電流も減少し、両端の電圧も下がってきます。すると、制御回路が負荷にかかる電圧をが低下したことを検知して、SWをONにします。あとは、上に書いた状態に戻って、この動作を繰り返します。
 この回路では、SWがOFFになった時にLが流そうとする電流の向きにより、負荷の両端には基準電位(電源の−側のノード)に対して負電圧が生じるため、「反転型」と呼ばれます。

それでは、解答に移ります。
 スイッチング電源では、出力電圧と基準電圧を比較して、ON/OFFのA:時間幅を変化させます。また、スイッチング電源は原理上、連続して発熱する素子を持たないため、効率がB:良い電源です。しかしながら、電流を過渡的にスイッチングするため、本質的にノイズ(雑音)がC:出やすいというデメリットがあります。従って、が正解となります。