□ R03年12月期 A-02  Code:[HA0404] : 同一平面上に置いた径の異なるコイルに流れる電流による合成磁界の計算
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2022年
05/14 04月期問題頁掲載
01/11 12月期問題頁掲載
2021年
10/17 09月期問題頁掲載
H3312A02 Counter
無線工学 > 1アマ > R03年12月期 > A-02
A-02 図に示すように、二つの円形コイルA及びBの中心を重ねOとして同一平面上に置き、互いに逆方向に直流電流I [A]を流したとき、Oにおける合成磁界の強さH [A/m]を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、コイルの巻数はA、Bともに1回、A及びBの円の半径はそれぞれr [m]及び3r [m]とする。
H=I/(2r)
H=I/(3r)
H=I/(4r)
H=I/(6r)
H=I/(9r)
問題図 H3312A02a
Fig.H3312A02a

 R3年12月期が初出の問題です。2つのポイントお押さえていれば、正解できます。一つは、円電流がその中心に作る磁界です。もう一つは、重ね合わせの原理(電磁界の線形性)です。

[1]円電流が中心軸上に作る磁界

 まず最初に、半径がr [m]の円上に一様に流れる電流I [A]が、中心軸上の電流を含む平面から高さh [m]の位置Pに作る磁界の強さHを調べておきましょう。
 上に示した条件を図にすると、Fig.HA0404_aのようになります。
 数学が得意な方は、最初に円を正n角形としておき、1本1本の微小な直線電流(電流素片と言います)一つがP点に作る磁界を計算し、それらの和を取ってからn→∞の極限を取れば求められます。つまり、電流素片がP点に合成する磁界を全て求めればよい、ということになります。
 これは、大学の電磁気学の演習問題レベルとなりますので、ここでは結果だけを示しておきます。
Fig.HA0404_a 円電流が中心軸上に作る磁界
Fig.HA0404_a
円電流が中心軸上に作る磁界
 
 ここで、dはピタゴラスの定理から、hとrを使って次式で表せます。
 
このdを(1)式に代入しますが、ここではHがhの関数であるとして、
 
と表します。特に、円の中心(h=0)では磁界の強さは、
 
と簡単な式で求められます。電磁気に興味がある方なら、1ターンコイルで生じる磁界の強さが(3)式のようになることは記憶していてもいいかと思いますが、通常はここまで要求されませんので、(4)式だけは覚えておいた方が良いと思います。
 なお、上記の「数学が得意な方」の計算はベクトル計算になるので、ここでは説明しませんが、中心軸上では磁界は上向きか下向きしかありません。円形電流は、中心軸に対して対称なので、放射方向の成分は打消しあってゼロになるためです。また、Fig.HA0404_aの向きで電流が流れている場合は、磁界は上向き、反対周りの電流では下向きになります。この辺りは、ビオ・サバール(又はアンペール)の法則(H2904A02)を参照して下さい。

[2]複数の源からの影響

 我々が目にする、多くの物理現象は「線形」です。最も簡単な例は、65kgの体重の人が、15kgの体重の子供を背負って体重計に乗れば、目盛りは80kgを指すでしょう。簡単に言えば、あるものの影響と、別のものによる影響が独立してある時、両方が同時に生じた場合の影響は、それらの和になる、ということです。
 電磁気学でも多くの現象は線形現象です。この問題の電流による磁界について簡単に言えば、円形電流1と円形電流2があって、それら両方の影響を受ける点での磁界は、各々の電流が作る磁界の和になる、ということです。但し、上の体重(スカラー量)のように単純ではなく、電界・磁界の世界はベクトル量で考えなければならないので、注意して下さい
 このことを、上の円形電流を使って説明します
Fig.HA0404_b 同心円電流が作る磁界
Fig.HA0404_b
同心円電流が作る磁界
 Fig.HA0404_bのように、同じ平面上に中心Oを同じくする(=同心円)、各々半径がr1,r2 [m]、電流がI1,I2 [A]の2つの円電流があるとします。
 これらが、中心軸上、Oからh [m]の点Pに作る磁界は、どう考えれば良いでしょうか?
 磁界がベクトルである(この場合は上向き、下向きか、がある)ことを考慮に入れて、上向きの場合は正、下向きの場合は負であると考えれば、単純にこれら2つの円電流からの磁界の和になります。
 円電流I1とI2 [A]がそれぞれP点に生じる磁界をH1とH2 [A/m]とすれば、P点での合成磁界Hは、
 
となります。中心軸を同じにする2つの円電流であれば、中心が必ずしも一致していなくて(h方向にズレていて)も、スカラー量の(5)式が成立ちます。無論、ベクトルで考えるようにすれば、2つの円電流がどこにあっても、ベクトルとした(5)式が成立ちます。

それでは、解答に移ります。
 この問題では、外側の円電流と内側の円電流で、向きが違います。まず、このことに注意して下さい。
 (4)式から、内側の円電流Aが中心に生じる磁界の強さHA [A/m]を求めると、
 HA=I/(2r) …(a)
Aを正とすれば、同様に、外側の円電流Bが中心に生じる磁界の強さHB [A/m]は負になり、
 HB=-I/2(3r)=-I/(6r) …(b)
となります。従って、これらの合成磁界H [A/m]は、
 H=HA+HB=I/r×(1/2−1/6)=I/(3r) …(c)
となりますから、正解はと分かります。

 今後、同様の問題で、中心の磁界がゼロになるような電流の比を求めたり、電流の向きが同じだったりする応用?問題が出題される可能性もありますので、ご注意下さい。