目次
集合住宅室内まで光ファイバ
 ■ 光導入以前編
 ■ 光通信能書き編
 ■ 光導入準備編1
 ■ 光導入準備編2
 ■ 光導入工事編1
 ■ 光導入工事編2
 ■ 光通信運用編1
 ■ 光通信運用編2
 ■ 光通信運用編3
 ■ Q&A ファイバと通信
 ■ Q&A 集合住宅に光
 ■ Q&A 導入準備と工事
宅内に家庭内LAN敷設工事
 ■ 家庭内LAN編1
 ■ 家庭内LAN編2
 ■ 家庭内LAN編3
 ■ 家庭内LAN編4
 ■ 家庭内LAN概要(別窓)
 ■ Q&A 家庭内LANとは
 ■ Q&A ケーブルと配線
 ■ Q&A 配線工具と材料
 ■ Q&A 隠蔽配線と工法
おまけ&リンク集
 ■ PC自作編
 ■ リンクと資料編

 ■ 集合住宅に光をTop
 ■ サイトポリシー(別窓)
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Q&A 集合住宅に光ファイバ タイトル
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 集合住宅(特に既存の分譲マンション)に光ファイバを住戸まで引こうとする時に課題となる、法的手続き(管理組合、管理会社)や空き配管の有無の調査についての疑問に答えます。
(ここに書かれたことは私のケース=本文参照、です。回線事業者や管理組合・オーナーさんの意向によっては、うまくことが運ばないこともありますので、参考情報としてご覧下さい。)

「Q&A 集合住宅に光ファイバ」の目次

  □ 1 光ファイバ導入への法的手続き
  □ 2 導入までの具体的手順
  □ 3 空き配管と導入可能性



光ファイバ導入への法的手続き
  □ Q1-01 マンションで光ファイバを引込むって、どの程度大変?
  □ Q1-02 (分譲の場合)集合住宅にファイバを引く際の法的な制約は?
  □ Q1-03 (分譲の場合)管理組合って何ですか?
  □ Q1-04 (分譲の場合)管理会社って何ですか?
  □ Q1-05 「説得」とか「交渉」に自信がないのですが…

Q1-01 既存のマンションで光ファイバを引込むって、どの程度大変なんでしょうか?
A1-01  既存の集合住宅については、光ファイバの引込みについていろいろと制約があります。何がそんなに大変なのか、と疑問に思われる方もあると思いますので、簡単にその「大変さ」をご説明します。
 一口にマンションに光ファイバを引込むといっても、さまざまな形態があります。NTTで言うと、マンションタイプ(VDSL方式・LAN方式)やNTT西日本で導入されている、「フレッツ・光プレミアム マンションタイプ ひかり配線方式」など、いろいろです。ここでは、サービス名で限定するのではなく、「光ファイバを空き配管などの共有設備を使って、住戸まで引込む」方法について書くことにします。但し、光ファイバを全戸一括で工事し、引込んでしまうようなものは除きます(この工事にはすでに住民の合意がなければできないため。)
 集合住宅の共有設備を使って住戸まで光ファイバを引くためには、まず、次のことを守らなければなりません。
 (1) 法律(区分所有法等)に従って進めること
 (2) 全住戸に不公平がないようにすること
 (1)は、いわゆる「法の要請」であって、共有設備を使うからには、みんなの了解を得なさい、ということです。これを守らないと、最悪「引込めたのに、管理組合に光ファイバ契約を解除するように言われた」などというトラブルになりかねません。
 (2)は、空き配管などが少なく、物理的な制約がある場合、光ファイバを後から引く人が引けなくなるようでは不公平が生じるため、守らなければならないことです。法の要請ではありませんが、後から外観が変更になるようなパイプを壁に這わせたりする工事をしなければならなくなると、それはそれでまたトラブルの種ですから、事前に全戸数分の経路が確保できているか、を確認しておく必要があります。
 このように、集合住宅では一つの建物を共用で使っているために、皆に影響がある可能性があることは、すべて話し合いで決めていく必要があるのです。ここに、集合住宅でファイバを引く難しさがあるのです。
関連記事 光導入準備編1 2-2 「管理会社に相談 早期導入は絶望的に」
光導入準備編2 3 「管理組合総会に向けて」
光導入準備編2 4 「管理組合総会での承認」
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Q1-02 (分譲の場合)集合住宅にファイバを引く際の法的な制約は?
A1-02  私も法律に明るいわけではないのですが、光ファイバを引く際に必要だと言われている法的手続きについて簡単にご説明します。
 対象となる法律は、区分所有法です。この法律では、集合住宅には「管理組合」というものを組織して、建物やコミュニティの細かなルールは、そこで決めなさい、と要請しています。そして、光ファイバなどを引く場合に必要となる空き配管やMDF・IDFといった電気配線用の盤などは、「共用部分」として、個人で勝手に使ってはいけないことになっているのです。もちろん建物が建設された当時から配線されている分には何の問題もありません。
 ところが、ここに、個人で使用する配線を追加する場合、共用スペースですから、皆が勝手に権利を主張して勝手に工事を始めたら、後から工事をしたくなった人に不公平になります。「不法占拠」状態ですね。
 こうならないためにも、管理組合の意思決定方法である「総会の議決」でもって、みんなが納得した上で使用を認めよう、というわけです。また、不幸にも空き配管が不足であるか使えない時は、外壁に配管を這わせたりしますが、一般にこの工事は通信会社では負担してくれませんし、外観の変更は(この後書くように)特別な議決が必要です。このような場合でも、費用負担や外観の変更に対して、総会の議決さえ通っていれば、法的に効力を持ちますので、住人は「自分はブロードバンドとは無関係だから」などと、後になって管理費の支払いを拒んだりできないことになっています。
 逆に言うと、もし総会で案が通らないと、その集合住宅は(次の総会以降で承認が降りるまで)誰が何と言おうと、光ファイバは引けないことになってしまうのです。
関連記事 光導入準備編1 2-2 「管理会社に相談 早期導入は絶望的に」
光導入準備編2 4 「管理組合総会での承認」
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Q1-03 (分譲の場合)管理組合って何ですか?
A1-03  管理組合とは、分譲の集合住宅で、その区分所有者が自分たちの集合住宅内の課題について、自主的に解決できるよう、いわゆる自治組織として、区分所有法に規定されたものです。要するに、マンションならマンションを一つのコミュニティとして、その中のことは自分たちで決めなさい、という組織でしょう。
 1戸の区分所有者が議決権1を持ち、マンションの敷地内の草刈費用から建替え・トラブル解決まで、総会を開いて決めてゆきます。総会で選出された理事さんが基本的には総会で決定した事項を元に進めます。簡易な問題は、理事会での議決で決めてしまうこともありますが、光ファイバ導入が「簡易な事項」と判断されるかどうかは、その集合住宅ごとの事情によって異なるでしょう。
 管理組合の議決には2種類あり、過半数で承認となる通常の議決と、外観の変更や多額を要する修繕などの2/3の賛成を要する特別議決(この名称が法に照らして正しいかは定かではありません)です。
 光ファイバを引くために、外壁に配管を引いたり、壁を壊して盤を設置する、ということになると、2/3の賛成が必要な「特別議決」になってしまいますので要注意です。
関連記事 光導入準備編1 2 「現場調査までのやり取り」
光導入準備編2 4 「管理組合総会での承認」
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Q1-04 (分譲の場合)管理会社って何ですか?
A1-04  管理組合は、その集合住宅の「自治組織」ですが、皆仕事を持っていたり高齢だったりと、住人全員で建物とコミュニティを全て管理できるわけではありません。住人同士のトラブルなどがあった場合、第三者とはいえ管理組合の住人が間に入ったりすると、余計解決しづらくなることもあるでしょう。
 そこで、管理が専門の会社に委託して、日々の清掃や電球の交換から金銭の管理、大規模修繕計画の立案までやってもらおうというわけです。大手のマンションデベロッパーの場合は、その系列会社として管理会社を持っている場合が多く、建設当初はそこに委託する場合が多いです。
 では、管理会社が何故光ファイバと関係するかというと、管理会社はインフラの保守も担当するため、電気・ガス・電話等の供給会社の集合住宅担当者と知り合いであることが多いのです。私の場合、「これまで何棟も光化を手がけている」というNTTの営業課長さんを紹介され、大変熱心に管理組合との折衝や住人への説明を行なっていただきました。
 このように、我々素人では持てないコネを持っていることがありますし、管理会社の担当者自身が光ファイバを引いていたりすると、意思疎通も容易です。法律の壁に立ち向かうには、是非とも味方を増やしましょう。もちろん、住人の中に興味がありそうな人がいるなら、そういう方と連携するのも手です。
関連記事 光導入準備編1 2-2 「管理会社に相談 早期導入は絶望的に」
光導入準備編2 1-1 「調査の結果をNTTと管理会社に報告」
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Q1-05 「説得」とか「交渉」に自信がないのですが…
A1-05  私も実は苦手です。お隣近所のことですから、争いにはしたくないし、かと言ってせっかく光ファイバを引けるようにしたいと思い立ったのに、法律とか交渉とか、面倒なことで諦めたくないですよね。
 普通、サービスを受けない人に負担は生じず、外観に手を入れることもない(Bフレッツハイパーなどの戸別用のサービスを使い、かつ、外観の変更は伴わないことで、「受益者以外に負担は求めないで済む」ことを前提とします)上に、資産価値は上がるのですから、他の課題と違って反対の出ようはずがないのです。
 もし逆に、大工事が必要になって、相当の費用を管理費から出さなければならなくなった場合、この説得は利用しない人に対しては容易ではないでしょう。最初は光化に賛成だったブロードバンド利用者の中にも「そんなにかかるんならADSLでいいや」という人も出てくるでしょう。
 私の場合は、右も左も知らずに自力交渉をはじめてしまったのですが、後からNTTに聞いたところでは、「最初から交渉を任せてくれないと、途中からでは請けられない」そうです。確かに、こじれてから持ってこられても、NTTとしては困りますよね。他の事業者も多分同じだと思います。
 そこで、どの程度リスクを取るか、ですが、交渉の苦手な方もそうでない方も、最初は回線事業者に交渉を任せる方法をお薦めします。私の取った方法とは違いますが、私のケースがうまく行ったのは、たまたま空き配管がたくさんあって、しかも将来の需要増に対してもNTTが多芯ケーブルへの張替えを確約してくれたからであって、このページをご覧になっている皆さんの全てのケースに当てはまるとも思えません。
 ただ、自分では直接管理組合とは交渉しないものの、配管の調査やプランの打ち合わせなどには必ず参加しておいた方がいいと思います。配管の様子や、どこに何を配置するかを知っておけば、将来のシステムアップの際に自分なりに考えて提案することができるかもしれません。「説得」や「交渉」に自信がないから、と言って任せきりにするのではなく、知識をつけ、積極的に関わることをお薦めします。御近所の知り合いも増えて、趣味の輪が広がるかもしれません。
関連記事 光導入準備編2 1 「情報の整理と説明資料作成」
光導入準備編2 3 「管理組合総会に向けて」
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導入までの具体的手順
  □ Q2-01 何から始めたらいいのでしょうか?
  □ Q2-02 [相談編]どういう風に相談を持っていったらうまく行く?
  □ Q2-03 [調査編]要するに調査して何がわかればいいの?
  □ Q2-04 [総会編]総会がスムーズに進むにはどうしたら良い?
  □ Q2-05 準備する書類・資料などはありますか?
  □ Q2-06 すでに光(VDSLやLAN方式)が入っているんですが…
  □ Q2-07 最近、光ブロードバンド営業が攻勢を…

Q2-01 何から始めたらいいのでしょうか?
A2-01  これから書くことは私の事例ですので、こうでなければならない、というものではありません。

1.まず、提案と相談
 賃貸なら所有権を持つ大家さんや賃貸会社に相談します。分譲(区分所有)なら管理組合の理事さんや管理会社に提案します。集合住宅での光ファイバの導入記を見ると、住人の誰かの提案がトリガになって動き始めるケースが多いようです。話しに行くのは、申し込みの後でもいいでしょうが、事前に話を通しておいた方が、いきなり通信会社の営業が、管理組合の理事さんや管理会社に訪れるよりもスムーズに行くと思います。

2.配管調査の申し込み
 その後、所有者や管理組合から(反対でなければ)通信会社に配線調査の申し込みを行ないます。配線調査は(2)の原則に従って、全住戸にファイバが引けるかどうかを調査するものです。分譲の場合、この後の管理組合の議決の後に調査してもいいと思いますが、調査結果を元に総会で説明した方が、説得力があります。

3.(分譲の場合は)管理組合の総会承認
 賃貸ならここで工事に入れますが、分譲の場合は管理組合の総会で承認を得ます。承認が得られれば、即、工事にかかれます。スムーズに運ぶキーとなるのは、管理組合の理事さんたちや通信会社の担当者、それに管理会社の担当者と情報を密に交換して、仲良くなってしまうことです。

 それから、そもそも住民の負担の少ないプランを選択しておきましょう。「既存マンション丸ごと工事します」なんていうプランもあるようですが、こういうのは管理組合がその工事費を負担することになっており、相当額の負担が必要です。つまり、「うちは光なんか要らないよ」という人も負担することになるので、合意が得にくいのです。合意が得られやすい環境ならそれもアリかとは思いますが、もっとブロードバンド環境のメリットが一般に認知されないと難しいのではないかと思います。
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Q2-02 [相談編]どういう風に相談を持っていったらうまく行くでしょう?
A2-02  こちらから相談に出向くわけですから、いきなりアポなしで行ったりしないよう、気をつけましょう。相手が所有会社や管理会社等の会社である場合は、電話でも良いでしょう。また、全く光ファイバなんて全然頭になかった、なんていうオーナーさんや管理組合の理事さんもいるわけですから、相手の知識の度合いも考えて、分かるように説明します。こちらとしては、「法にのっとってやること」「全員に平等に引けることが確認できてから工事に入ること」を約束して、大家さん又は所有会社(いずれも賃貸の場合)や管理組合(分譲の場合)から通信会社に申し込みをしてもらえないか、依頼してみます。分譲の場合、管理会社に連絡すると、管理組合の理事さんと連絡を取ってくれて、理事会で議題に上げてくれるようにお願いしてくれることもあります(うちの場合はそうでした)。
 ここでは、まだ細かな空き配管や空きスペース調査は行なっていないわけですから、あくまで希望を伝えるだけです。この時点で、すでに否定的な反応が返ってくるようだとつらいですが、前にも書いたように、全戸に引ければ資産価値が上がることも説明してみることです。
 分譲の場合ですと、管理組合の理事さんや管理会社が熱心な場合だと、率先して光導入意向のアンケートを取ってくれたり、導入に向けた動きを活発にしてくれることもあるでしょう。
 もし、あまり協力的でない場合や、自分が説得が苦手だったり、相手が相当頑固だったりしそうな時は、「自分ではメリットをうまく説明できないから、通信会社にお願いして良いか」を聞いて、専門家の説明をお願いするという手もあります。ただ、会社によってはある程度の契約数が見込めないとやってくれないこともあるかもしれないので、普段からパソコンや通信に興味がありそうな住人と「横の繋がり」を持っておくのも必要だと思います。
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Q2-03 [調査編]要するに調査して何がわかればいいのでしょうか?
A2-03  現場調査は、賃貸の場合は所有者、分譲の場合は管理組合が申し込みの主体となって回線サービス会社が行ないます。観点は、全戸に公平な引込みが可能かどうか、という点と、実際に配管に通線ワイヤを入れてみて、通線可能かどうかを調査します。具体的には、空き配管の本数や経路、それにMDFIDFといった盤の位置、スペースの空きなどを見ます。ここで、空き配管がない、又は足りない、あるいは施工が悪くて配管が屈曲しているケースなどがあると、空き配管の代わりに壁面に配管するなどの外観変更を伴う工事が必要と判断されることもあります。
 大きな工事なしに、全住戸分の配線が可能となれば、賃貸の場合はすぐ引込みにかかれますが、分譲の場合は管理組合の総会が開かれるまで、待たなくてはなりません。施工調査する会社は、回線事業者の協力業者であることが多く、調査結果が報告書となって回線事業者のところに上がります。早く上げてもらったところで、管理組合の総会までは工事ができないのですから、急いでもしかたありません。
 この待ち時間の間に、回線事業者に調査の結果についてよく聞いておき、当日出得る、「将来、ケーブルが増えて空き配管に収まらなくなることはないのか?」といった、鋭い質問にも回答を用意しておくよう、お願いしておきます。もちろん、工事の費用負担やVDSL装置など電源を要する装置を集合住宅内に置く場合は、電気代の負担をどうするか、といった金銭面のことも忘れず確認しておきます。
 あなたが管理組合の関係者でも何でもない場合、この調査は管理組合が主体となって行なう形のため、ちょっと煙たがられるかもしれません。しかし、住人の中には全くインターネット等に関わりのない人もいるので、その人たちにも納得できるよう、抜けのないように準備しておきたい、という意思を伝えましょう。その結果が、総会で不必要にもめずに済む、調査の最終成果となります。
 もし、ここで期待したような成果が出なかった場合、すなわち、大きな工事をしなければ全戸に光が引けない場合、最悪の場合、外観は変更になるし(受益者以外にも)費用負担が生じるという点で、総会での議決の見通しは非常に不透明になってきます。でも、こればかり(光配線可能かどうか)は、マンションができた時に決まっており、回線業者に説得を頼んだ後は、祈る他はありません。
関連記事 光導入準備編1 3 「現場調査の詳細」
光導入準備編2 3 「管理組合総会に向けて」
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Q2-04 [総会編]総会がスムーズに進むにはどうしたら良いですか?
A2-04  通常、総会は年に1回ですから、最悪1年待たされます。臨時総会を開く手もありますが、光ファイバ導入の議決のためだけにはなかなか開催できないでしょう。他の緊急の案件があれば別ですが。
 管理組合の総会というのは、多くの議案が決算報告や予算の説明で、建物の中で修理が必要な部分の費用等を決めるのに費やされるでしょう。管理組合によっては、毎回意見が対立して長引く所もあれば、何でもすんなりOKの所もあるでしょう。そんな中で、光ファイバブロードバンドの導入は、毎年決まりきった予算や決算の承認、修繕箇所などの議案とは異なり、かなり異色の議案ではないかと思います。
 なぜなら、これまで調査してきたように、「一部の(ブロードバンド)利用者に共有部分の使用を認めるが、それは将来に渡り全員に使用可能である」そして「資産価値は上がるが、基本的に受益者以外に金銭負担はない」ので、反対する理由がないのです。しかし、上に書いたように、大きな工事や費用負担が伴う時は、この限りではありません。意見が割れたまま採決せざるを得ないこともあるでしょう。
 総会の場では、通信業者の担当者を交え、専門的な質問に答えられるようにするとともに、「光ファイバなど引くこともないし、自分には必要ない。管理費から金が出るならそんなものは要らない」という人には、管理費からの金銭負担がないことや、全戸平等に引けること、資産価値が上がることなどを分かりやすく説明してもらえるとスムーズに議決に持ち込めます。
 そして、晴れて管理組合の総会で議決されれば、すぐに工事にかかれるのです。営業担当者の手腕によっては、工事を総会の直後に日程をキープしておいてくれて、議決され次第正式発注を出すような対応をしてくれる人もいます(全員が全員ここまでやってくれるわけではないと思いますが)。
関連記事 光導入準備編2 3 「管理組合総会に向けて」
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Q2-05 準備する書類・資料などはありますか?
A2-05  義務ではありませんが、最初に大屋さんや所有会社(賃貸の場合)、管理組合や管理会社(分譲の場合)に提案・相談に行く際、下記のようなことを簡単にまとめたものがあると、説明しやすいですし、読む方も受け入れやすいでしょう。

1.集合住宅全体にとってのメリットは何か
 光ファイバが住戸まで引けると、何が(住人にとって)いいのか、通信の高速化とか、影像コンテンツの試聴とかいった面からだけではなく、分譲の場合は新しく建ってくる「光ファイバ対応マンション」に(通信インフラの面では)劣らない資産価値を持つことができる、という点もアピールしましょう。

2.配線上不公平は生じないのか(全戸に配線可能なのか?)
 これは正直に「調査してみないと分からない」ので、「必要配線量と空き配管を調査して、もし不可能なら(物理的に配管を増やす工事の必要な)手法で解決したいが、総会で否決されたらそれに従う。」という約束を書いておけばいいと思います。要するに、全戸分の配線量が確認できるまで、ゴリ押ししたり勝手に工事をしたりしない、という約束ですね。

3.費用負担上不公平は生じないのか
 光ファイバを引込む人には工事費がかかるが、それ以外の人には全く金銭負担はない(ようなプランを選ぶ)ということを明記します。これがないと、事情を知らない理事さんなどは、管理費から工事費を出さなければならないのだ、と思ってしまいます。

 こんなことをまとめたA41枚程度の紙を、大屋さん・所有会社の担当者・管理組合の理事・管理会社の担当者に提出して説明すればいいと思います。私の場合、個人で勝手に現場調査をしてしまった後に「空き配管は十分あります」といって写真入の提案書を作って管理会社と管理組合に出してしまったので、煙たがられたことと思います。ここまでする必要はありません。提案した相手が動き出せば、調査は通信会社が大屋さんや管理組合の依頼ということでやってくれます。
関連記事 光導入準備編2 1 「情報の整理と説明資料作成」
光導入準備編2 3-2 「管理会社・管理組合の準備」
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Q2-06 すでに光(VDSLやLAN方式)が入っているんですが…
A2-06  この場合も大屋さんや管理組合の承認を受ける必要があるでしょう。やはり「空き配管」という共有設備を個人で使うことになるので、事情は同じだからです。最近はブロードバンド対応をウリにしているマンションなどの場合、デベロッパーと資本関係にあるプロバイダと半ば強制的に契約させられる場合もあるようですが、そのようになっている場合は管理会社に相談しても(ここも系列であることが多いので)色の良い返事はないかもしれません。
 そうなったら、管理組合を説得するしかないのですが、すでに現状が満足のいくレベルの通信環境だったりすると、「何故今更わざわざファイバを引くのか?」ということになりかねません。そうなったら困りものですが、メタルケーブルはいずれ通信の高速化と共に光に置き換わる、と説得してみて下さい。
 こういうケースは見聞きしたことがないので、上に書いたことは全く想像でしかありません。
 上のケースとは別に、すでに住人の誰かが、光ファイバを住戸まで引込んでいて、あなたが2番目以降の光ファイバ回線の契約者である場合、管理組合の規定類を確認して、光ファイバが配管・MDF等の共有スペースを使用してもいいことになっていれば、新たに管理組合の承認を得る必要はありません。そのまま通信会社と契約してしまって、事後連絡でも問題ない(事前連絡を義務付けている場合は必ず連絡)でしょう。
 但し、管理規約の付則などで通信会社名を名指しで規定していることがありますので、この場合はその名指しされた通信会社以外との契約はダメです。どうしてもそこと契約したければ、管理組合に付則の改訂を諮る必要が出てきます。
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Q2-07 最近、光ブロードバンド営業が攻勢をかけてきているのですが…
A2-07  羨ましいですねぇ。うちなんかNTTしか選択の余地はありません。今でも。
 さて、通信会社の営業が来ている、ということは、すでに大屋さんや管理組合といった、導入を決定する中枢部(キーマン)に接触があったということだと思います。
 もし、その方々が、通信会社の薦めるままに検討されていて、しかもそれが自分の提案したいプランと違う場合、よくメリットデメリットを比較して話し合って下さい。特にこれまで書いたような、配線と金銭負担の公平性の観点については、十分納得するよう、話し合った方がいいと思います。(分譲の場合)管理組合の総会で話の方向付けをするのは理事さんたちですから、「俺は別ので引込む」と言って別の提案をしても議決はされないでしょう。
 逆に、複数の通信会社からいろいろなプランを提示されて、大屋さん・理事さんが迷っているのならあなたの意見が非常に参考になるでしょう。ただ、意見が合わなくても、ごり押しはいけません。御近所づきあいですから、あくまでも納得ずくでやりましょう。
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空き配管と導入可能性
  □ Q3-01 MDFって何ですか?
  □ Q3-02 IDFって何ですか?
  □ Q3-03 縦系配管・横系配管って何ですか?
  □ Q3-04 PDSS(またはPD-SS)って何ですか?
  □ Q3-05 光ローゼットって何ですか?
  □ Q3-06 縦系の空き配管はどのくらいあればいいの?
  □ Q3-07 うちはMDFから遠いのですが、大丈夫ですか?
  □ Q3-08 棟内にスプリッタを置くと言われました

Q3-01 MDFって何ですか?
A3-01  Main Distributing Frameの略だったかな?(不確かです) 要するに「主端子盤」といって、電話局側から束ねて入ってきた屋外電話ケーブル(建物によってはCATVなども)を1本ずつばらして、各住戸への屋内線に分配を行なう端子盤を備えた「分電盤」です。電話線の場合は、「保安器」という雷などで生じた異常電圧から保護する回路が入っています。通常、電話線の場合はこの回路から住戸側がマンションの責任範囲、電話局側がNTTなど回線事業者の責任範囲となっていますが、光ファイバの場合は、ONUやメディアコンバータのRJ-45モジュラーが責任分界点になっています。
 MDFは、大きな建物では、19インチラックに収納された端子台が何段も置かれているような「部屋」を含めての意味のこともありますが、うちのような数10戸程度のマンションでは、壁面取りつけの端子台と保安器程度のものであることが多いようです。
 光ファイバを引込むにあたっては、屋外用のケーブルと屋内用のケーブルをMDFに取り付けたPDSS(PD-SSとも書く)という「成端箱」で接続するケースが多いです。なので、ここのスペースが極端に小さいとPDSSが置けず、別のところ(IDF等)で接続しなければなりません。
関連記事 光導入準備編1 3-1 「10時ちょうどにNTT-MEの方々がやってきた」
光導入準備編1 3-6 「空き配管状況のまとめ」
光導入工事編1 3-2 「MDFにPDSS設置」
光通信運用編3 1-4 「MDFにPDSSが入らない!」
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Q3-02 IDFって何ですか?
A3-02  Intermediate Distributing Frameの略だったかな?(これまた不確かです) そのまま訳せば「中間端子盤」ということになりますが、MDFよりも住戸側に置かれ、多くは縦系配管から横系配管への中継機能を果たす端子盤です。階ごとに置かれ、大規模な集合住宅では1つの階に複数設置されていることもあるでしょう。うちのマンションの例では、こんな感じのものが1台だけです。見ると、インターホンもCATV(地上波も重畳)も一緒です。
 うちのマンションの場合は、スペースは天井まであるのですが、上半分は盤も何もなく、がらんどうです。このため、ここにはかなりな大きさの端子台もPDSSもたくさん置ける上、後からマンションタイプを契約された方もいて、ここにVDSL装置を設置することも可能でした。
関連記事 光導入準備編1 3-1 「10時ちょうどにNTT-MEの方々がやってきた」
光導入準備編1 3-6 「空き配管状況のまとめ」
光導入工事編2 3-3 「IDF内に設置された装置」
光通信運用編3 3-3 「IDF内での接続完了まで」
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Q3-03 縦系配管・横系配管って何ですか?
A3-03  階と階の間を上下に繋ぐのが「縦系配管」、縦系配管から分かれて、各住戸に電話線やファイバを繋いでいる配管が「横系配管」です。人間の体に例えて言うと、脊椎骨の中を通る神経経路が縦系配管で、あばら骨の中を通る神経経路が横系配管とでもなるでしょうか?
 どちらの配管も、通常はコンクリートの中にCD管という樹脂管を埋め込んで設置されています。
 縦系配管は、最近の建物であれば、CATVやLANといった配線があるため、余裕を持たせて空き配管を設置してあることが多いと思います。一方、古い建物では、電話線とテレビの共同視聴用の同軸ケーブル程度しか想定されていないため、ほとんど空き配管がない場合もあります。このあたりは、建設コストとの絡みで、新しいから必ずある、というものでもなく、必要最低限の装備しかしない設計もあるので、そういう場合は建物が新しくても、空き配管はないかもしれません。
 横系配管は、各戸に1本なので、ここの太さが足りないということはまずないでしょう。
関連記事 光導入準備編1 3-2 「縦系配管の通線確認 これは予備工事?」
光導入準備編1 3-6 「空き配管状況のまとめ」
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Q3-04 PDSSって何ですか?
A3-04  PDSSはPD-SS,PD/SSとも書くようです。機能としては、屋外ケーブルと屋内ケーブルを接続する「成端箱」(これって、NTT用語でしょうか?)です。モノとしてはこのようなものです。中には8本分のメカニカルスプライスと芯線の余長が収納できるようになっています。
 このPDSSは、一般に電話線と一緒に引込まれた、屋外用光ケーブルが最初に入ってくるMDFに設置されることが多いため、MDFに物理的余裕がない場合は、他の場所を検討する必要があります。寸法は、横150mm×縦120mm×厚さ40mm程度のものです。
 何枚かプラスチックのセパレータが入っていて、そこに余長が収納できるようになっています。NTTのBフレッツシリーズの場合、電話局と宅内以外の経路に電源が必要な装置が置かれることはありませんので、PDSSにも電源は不要です。
関連記事 光導入工事編1 3-2 「MDFにPDSS設置」
光導入工事編1 3-3 「屋内−屋外ケーブル接続」
光通信運用編3 1-4 「MDFにPDSSが入らない!」
光通信運用編3 3-2 「新しいPDSSとスプリッタのセッティング」
光通信運用編3 3-3 「IDF内での接続完了まで」
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Q3-05 光ローゼットって何ですか?
A3-05  光ファイバ同士を接続するにはメカニカルスプライスを使うことは前に書きましたが、メカニカルスプライスの両側は、光ファイバの芯線がむき出しになっているので、何がしかの保護をしてやらないといけません。また、余長ゼロでは接続できませんから、余長の収納もできないといけません。光ローゼットとは、2本の光ファイバを接続するための、接続箱です。
 私の家の場合は光ファイバを切ってしまったので、そこで接続するために使われています。普通、屋内ファイバを延長して使うようなことはないので、出番はないと思います。モノとしては外観がこんな感じのもので、中身はメカニカルスプライスと余長が収納できるようになった構造になっているものです。
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Q3-06 縦系の空き配管はどのくらいあればいいの?
A3-06  非常に気になるところですね。全戸に光ファイバが引けるかどうかのネックになるのは、敷地内の引込み部分の地下配管と1階と2階を結ぶ縦系配管の空き、ということになります。なぜなら、通常、集合住宅に光ファイバを引込む時は、架空(がくう)もしくは地下管路のケーブルから、一旦、敷地内の地下の配管を通り、そこから多くの場合、1階に設置されたMDFに引込まれている場合が多いためです。
 このため、1−2階を結ぶ部分が、最も配線量が多いことは、お分かりですよね。光ファイバそのものは髪の毛のように細いのに、光ファイバケーブルにするとかなり太い(電話線と同程度)のです。これは、敷設の際の張力に対して、芯線を守るための金属線が中に入っているためですが、これは「単芯(ケーブル1本に芯線が1本)」の場合です。どうしても入らなければ、最初から40芯など多芯のケーブルを引いてほしいところです。40芯のケーブルは、単芯のケーブル40本分よりも断面積はずっと細いですから。しかし、こればかりは需要もないのに工事はできない、ということで却下されました(うちの場合)。
 ただ、すでに申し込み希望のアンケートなどを実施して、相当数の契約が見込める場合は最初から多芯のケーブルを引いてもらえるでしょう。また、現状は少数の契約でも、将来的に需要が出てきた時に、「張り替えは認められません」と言ったら、顧客を他社に奪われてしまいますから、その辺りは交渉の余地ありです。その場合、営業担当者が代わってしまっても約束として残るように、書面で残しておくことをお勧めします。
 さて、前置きが長くなりすぎましたが、上にも書いたように、単純に単芯のケーブルの太さ×全戸数では通常空き配管はいっぱいになってしまいます。しかし、そこまで多数の契約があるなら、と多芯のケーブルを引いてもらえる場合や、ハイパーファミリーに代表される、分岐を棟内で行う場合、入ってくる線は少なくても済みます。
 必要な空き配管の容量は、このように配線プランや棟内の配管の位置、住戸との位置関係など、はたまた配線技術の進歩により違ってくるので、ここでは一概に答えられません。現場調査に来た担当者から聞き出した情報等を元に、通信会社の営業担当者、あるいは管理組合の理事さん方と一緒に知恵を絞ってみて下さい。
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Q3-07 うちはMDFから遠いのですが、大丈夫ですか?
A3-07  うちも4〜50mほどありますが、全く問題ありません。元々光ファイバは、電話局を出てそのまま電話線と同じく、途中で増幅せずに何kmも届きますので、大丈夫です。そして、必ず光ファイバの施工後には、計測器で光パワーを測定して、規定内に収まっているか確認するので、ADSLのように距離によって大幅に速度が異なる、ということもありません。
 但し、光信号の伝送上問題ない、ということと、ファイバが引けるかどうかという問題は別問題ですから、ご注意下さい。配管を通る長さが長いと、途中で折れ曲がっていたりする可能性も高まりますから、調査してみないと確定的なことは言えません。
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Q3-08 棟内にスプリッタを置くと言われました
A3-08  Bフレッツのハイパーファミリータイプを集合住宅に引く場合、ハイパーファミリータイプの特徴である2段の分岐(4分岐×8分岐)のうち後段の8分岐のスプリッタは棟内に置くようです。
 最近出た、フレッツ・光プレミアム マンションタイプ 「ひかり配線方式」では、2段ともスプリッタは棟内に置かれるようですが、そうなると32戸分のファイバの棟内への引込みは1本のケーブルで済むわけですね。かなり規模の大きな建物でも、数本のファイバで済む訳で、こうなってくると一気に全住戸への光配線が現実味を帯びてきます。ですので、棟内にスプリッタを置くことは、将来の加入増に備えて優位であるのです。
 具体的には、スプリッタは分岐に対応したPDSSに収納され、1本の入力側ファイバに最大8本のファイバが接続されます。
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