目次
集合住宅室内まで光ファイバ
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 ■ 光通信能書き編
 ■ 光導入準備編1
 ■ 光導入準備編2
 ■ 光導入工事編1
 ■ 光導入工事編2
 ■ 光通信運用編1
 ■ 光通信運用編2
 ■ 光通信運用編3
 ■ Q&A ファイバと通信
 ■ Q&A 集合住宅に光
 ■ Q&A 導入準備と工事
宅内に家庭内LAN敷設工事
 ■ 家庭内LAN編1
 ■ 家庭内LAN編2
 ■ 家庭内LAN編3
 ■ 家庭内LAN編4
 ■ 家庭内LAN概要(別窓)
 ■ Q&A 家庭内LANとは
 ■ Q&A ケーブルと配線
 ■ Q&A 配線工具と材料
 ■ Q&A 隠蔽配線と工法
おまけ&リンク集
 ■ PC自作編
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光通信運用編2 ハイパーファミリー導入
Counter net_unyou2
 04年11月29日、NTTが新たな光ファイバアクセスサービスを打ち出してきました。共有ながら、ONUまではギガビット、ということで、速度が10倍にならないのは当然としても、優先度処理などを搭載しているようで、途切れないIP電話サービスなどに期待が持てます。
 さらに、驚いたのが、NTTが「既存のBフレッツニューファミリーは今後拡販?しない」と言っていることと、我々既存の契約者が契約を乗り換える時には、かなりな額の工事費を要すること。(2005年2月1日の時点で、既存ニューファミリー契約者の乗換え工事費値下げと1ヶ月間接続料・ONUと屋内配線使用料無料の発表があり、これを使うと、乗換えもほぼ無料です。)プロバイダをもう一つ新規契約して、工事費無料キャンペーンに乗る、という手もあるが、果たしてNTTは新規と認めてくれるのか…いろいろ調べてみると、どうも出来そうだ。
 「もう一つ」のプロバイダをExciteに決め、申込み開始! 現場調査の末、遂に工事日決定。ニューファミリー最後の速度測定で82.55Mbpsの過去最速を記録。

「光通信運用編2」の目次

1 ハイパーファミリーの技術検討
  □ 1-1 GE-PONとは何か?
  □ 1-2 将来性はどうか
  □ 1-3 NTTの戦略に 乗るか/乗らないか
2 乗換え手続き開始
  □ 2-1 乗換え手順1…ASAHIネットとNTTへの質問
  □ 2-2 乗換え手順2…Excite取次ぎ申込とキャンペーンの質問
  □ 2-3 乗換え手順3…NTTコンサルの様子
  □ 2-4 乗換え手順4…現場調査の様子
  □ 2-5 乗換え手順5…工事日に関するコンサル
  □ 2-6 おまけ…ニューファミリー最後の速度測定

ハイパーファミリーの技術検討
□ 1-1 GE-PONとは何か?

 Yahoo!光に続いて、電気通信事業者各社から、「アクセスラインがギガ(Gbit/s)」の光サービスが始まる。いよいよ光ファイバの特性が生かされるサービスが始まった感じだ。これまでは、「ADSLでも数10Mbps出るのに、光に変えても50Mbps程度で、何がメリットなの?」といった声もあったが、今後はそうでもなくなると思う。
 ソフトバンクが「ギガビービー」、NTTが「Bフレッツ ハイパーファミリータイプ(以下、BフレッツHF)」を発表する前後から、キーワードとなっていた、GE-PON(IEEE802.3ah)について調べてみた。乗換えるにしても、今後長く使える技術なのかどうなのかを見ておかないと、また数年後に乗り換えさせられて「工事費を頂戴いたします」では、困るからだ。
 かといって、専門家でもなく、そんな洞察力もないし、技術は流れ流れて…という側面もあるので、今時点でできる範囲のことは情報収集しておこう、という考えだ。だから、これから書くことには大間違いもあるかもしれないので、ご承知いただきたい。そのものズバリに答えてくれる情報は、そうそう落ちているものではないし…。

 なお、GE-PONについては、IEEE802.3ah以外の独自規格でもGE-PONと呼んでいる場合もあるようですが、調べても何がなんだかよく分からないので、ここではIEEE802.3ahに該当するもののみをGE-PONと呼ぶことにします。

 まず、GE-PONとは何ぞや、というところから。そもそも、「ギガ」と言うからにはニューファミリー(西日本ではファミリー100)より10倍速くなるのか?

 電話局から各戸までの構成は右のFig.1-1のようになっている。この構成は、TEPCOひかりの「占有100Mbps」NTTの「Bフレッツベーシック」などの「直収(直接収容)」サービス以外のほとんどがこの構成を取っている。(ちなみに「アクセス部分」というのは、簡単に言うと電話局からユーザー宅までの配線を言います。)
 つまり、電話局内にあるOLT(光加入者収容装置)から加入者宅にあるONU(光終端装置)までの間に、2回の分岐があるPDS(Passive Double Star)と呼ばれる構成だ。直接収容ではユーザー一契約につき1本の光ファイバなのに対して、PONではOLTから局内のスプリッタまで1本で引き、さらに柱上(管路内も含む)で光カプラで分岐する。
GE-PONシステムの構成
Fig.1-1

GE-PONシステムの構成

 こうすればファイバの本数が減るし、スプリッタや光カプラは電源不要の部品なので、保守が不要でコストが安い。ところがこうすると、1本の光ファイバを複数人(BフレッツHFでは最大32ユーザーといわれている)で共有するので、一人当りのスピードが落ちる。これは現在のニューファミリーでもあることだ。
 今回、GE-PONでGbit/sになるのは、アクセス部分とのことだ。つまり、局から見てONUの入口までの光信号が1.25Gbps(上り下り同一速度)であって、ONUとPC、IP電話機の間の電気信号は100Base (100Mbps max)のままなのである。ならば、「出口が100Mのままなら、ちっとも今と変わらないではないか」と思うかもしれないが、場合によっては速くなることも有り得る。
 今までの共有型100Mbpsの場合、束ねられた後の速度は、会社によってまちまちだが、622Mbpsだったり156Mbpsだったりした。要するにGbpsよりも遅い。したがって、現在ぶら下がるユーザの数が多くて、光カプラから電話局側のファイバが混雑している場合は、GE-PONに替わることでこのボトルネックが解消され、速くなると予想される。逆に、「どう見てもうちの周りで光を引いている家はないなぁ」ということなら、あまり変化はないかもしれない。

 最初の「速度が10倍になるのか」という問いに対しては、「10倍にはならないが、現状より速くなるユーザーは確実に増える」といったところだと思う。

以下は噂レベルの話なので、違うかもしれませんが…04年春に、NTTが総務省から「BフレッツNFは共有型と謳っておきながら、実際には直収しているではないか」と指摘を受け、反論するという騒ぎ?がありましたが、この前後で収容方法が変わったというのです。指摘前は確かに直収もあったが、指摘後は全て共有型に変えた、ということです。であるとすれば、うちなどは直収されているはずですので、あまり速度的なメリットはないのかもしれません。現状、速度面で不満はないので、むしろ使い方が広がる方に期待が大です。
□ 1-2 将来性はどうか

 将来性を云々する前に、何をもって将来性を測るか、は個人によって違う。ある人は、「とにかく高速化に対応してほしい」だろうし、他の人は「家に入る情報は何でも(TV、電話、データ)光ファイバにしてほしい」だろうから、ここでは私の思っていることを書いてみたい。
 私はどちらかというと後者(映像配信でもやらない限り、100Mbpsで速度が足りずに困る、という個人ユーザーはほとんどいない?)なので、局側からの映像配信・途切れないIP電話やIP-TV電話に興味がある。
3波長多重システムの構成
Fig.1-2

3波長多重システムの構成

 実は、局側からの映像配信については、電気通信事業者各社はGE-PONの装置に3波長多重システム(Fig.1-2)が搭載されたものを採用していくようだ。3波長多重システムがGE-PONの規格自体に含まれるのか否かは、不勉強で分からないが、とにもかくにもそういう装置自体が、日立や古河電工などといった大手で作られていることは事実だ。
 波長多重とは、複数の波長(分かりやすく言えば「色」)の信号を、同一の伝送路(光ファイバ)に送り込み、受信側では波長(色)フィルタで信号を分ける方法だ。
 NTTなどの通信事業者が「放送」をすると放送法で問題があるので、送信側ではOLTの後で映像信号を伝送路に流し込み、受け側ではONUの手前で分離することで、CATVのケーブルの部分を、NTTなどが貸している形にするわけだ。
 ONU内部で信号を分離して、その先にCATVと同じようにSTB(セットトップボックス)を取りつければ、映像が見られる、というしくみだ。
 一方、IP電話だが、NTTが発表した、「戸建住宅向けIP電話サービス」は、「今後提供を予定している1Gbps・シェアドアクセス方式を用いたBフレッツをご利用のお客様を対象」となっている。この「今後提供を予定している」のがBフレッツHFなのだろうが、なぜ、Bフレッツニューファミリーではダメなのか…その理由は、帯域予約にありそうだ。(それ以前に「戸建住宅向け」と言われてしまうと、集合住宅では入れないのか、という疑問も生じるが…)
 電話のようなリアルタイムな音声伝送では、IPパケットの遅延時間のバラツキが問題になることが知られている。一般にWeb閲覧時などには、パケットの到着がばらついても、表示が遅くなるだけで、致命的にはならない。ところが電話では、遅く来たり速く来たりするパケットを元の順番に並べて、音声に変換しているから、遅く来るものが一定時間内に来ないと、データをある固まりで捨てざるを得ない。
 これが「電話(の音声)が途切れる」という現象だが、これを防ぐには、「必ず一定時間内にパケットを届けます」という、ピザの宅配のような約束が、両者間と通信路でできていなくてはならない。GE-PONでは、この仕組みを持っているよう(詳しいことは調査中)で、これができればIP電話は途切れなくなる。NTTがニューファミリーにこのサービスを提供しないのは、移行を促す戦略があるからだと思うが、現在のPONシステムに、帯域予約をさせるだけのために、装置の交換などの設備投資をする必要がないからではないか?
 (上記、想像も多分に含みます。情報募集中ですので誤りがあれば、ご指摘下さい。)
 最後に、速度面から見た将来性を考える。当面は(ADSLのようにカタログスペック上の速度ではなく)、実際の速度もどんどん高速になっていくと思われる。多分この次は、ONUの出口がギガになることだ。そんなスピード必要なのか?とも思うが、上流が10Gbps(光なら可能である)になれば、理屈の上では可能ではある。

 上記のように、元々が光ファイバなので、「あれもできる、これもできる」なのだが、どれもいまひとつ「絶対にBフレッツHFに乗り換えなければ実現しないのか」といった疑問が付きまとう。ここまで情報を集めてみても、踏ん切りはつかない。
□ 1-3 NTTの戦略に 乗るか/乗らないか

 ニューファミリーを拡販しない、IP電話サービスはHFに限る、というあたりからみても、NTTが既存のユーザーをGE-PONに誘導しようとしていることは確かだと思う。こちらからすれば、それに乗るか乗らないか、なのだが、これまでに書いたように、実際面ではメリットはあまり大きくなさそうだ。ただ、ニューファミリーはいずれ「強制退去」を迫られそうなので、それなら早めに移行しておいてもいいかな、という程度の考えでいた。
 ところが、何と工事費が…\20,055…これは払えない。うちの大蔵^H^H財務大臣は、こんなメリットの明確でないものに、家計から\2万もの出費を許可するはずもない。将来的にも「もうこれで終わり」と言い切れるわけでもなく、絶対に許可される見込みはない。そうなれば、オトーさんの財布は乗換えごとに空っぽになってしまう…と思っていたところ、「ニューファミリーユーザーの乗り換えは、ハイパーファミリーに新規申し込みをして、開通直後にニューファミリーを解約し、キャンペーンを活用すべし
と書かれていたページを発見した。
 実はこの方法、頭には浮かんだのだが、どうせNTTは許可しないだろうなぁ、と思っていた。だが、考えてみれば、NTTにとっても、わざわざ新しいファイバを1本引くより、既存のファイバで乗り換えてもらった方が、工事費は安上がりではないのか? 特にうちのような、PDSSから長距離引いているような加入者は、アクセス側に分岐を入れるついでに収容してしまえばいい。ONUの交換が必要なので、人を派遣する必要があって高価なのだということらしいが、契約を止めるときの撤収にはちゃんとONUを引き取りに来るではないか? タダで。
 そうだ、NTTにとっても既存のユーザーから2万円もの出費を強いたがためにシステム全体の移行が遅れるよりは、「しょうがないなぁ」とタダでサービスし、移行を促した方が、結局は得なのではないか? そもそも、「施設設置負担金」なる\72,000がチャラになってしまった今では、あの資金で光ファイバの敷設投資もしたはずなのだから…と書いている間にだんだんヒートアップしてくる私なのだった。

 しかし真面目な話、携帯がアナログからディジタルに置き換わった時にも、ユーザに一部負担させた記憶があります。友人は、あくまでも「アナログでいい。そっちの都合でインフラを換えるんだから、こっちに払う義務はない、払わない」と突っぱねていたら、偉い人が尋ねてきてタダにしてくれたんだとか。今回もどうするんでしょうね。そういう人がたくさん出てくるのでは? うちもそのクチだったりして。

 この「計画」の結末は…この後に書いている。

乗換え手続き開始
□ 2-1 乗換え手順1…ASAHIネットとNTTへの質問

 2005年の正月休みも終わりかけたある日、ふとNTTのホームページから、当地でのBフレッツハイパーファミリーの申し込み可能状況なぞを見ていると、何と「申し込み受付中で3月7日以降にサービス開始」と出ている。確か以前に見たときは、まだ開始時期は明記されていなかった記憶が…。
 1-3 では、「まだサービスが始まったわけでもなく、どこに聞いても門前払い」などと書いたが、これなら有用な情報が得られそうだ。
 そこでまず、「大家さん」でもあるASAHIネットのメールフォームの窓口から質問してみた。以前にニューファミリー申し込みの際に、キャンペーンを利用したので、ダメだろうとは思うが、新規に申し込むということで…。聞いたのは、以下の点。
  • 全く新規に申し込む、ということで、キャンペーンは利用可能か?
  • メールアドレスや、ホームページURLは変更になるか?
すると、すぐに回答が来た。
  • 過去にキャンペーンを利用したことのある人は新規申し込みでもダメ
  • 一旦退会してからならキャンペーン利用可能。ユーザーIDは変更になる
  • ユーザーIDが変更後も、フリーメールアドレスやフリーURLは再利用可能
とのことだった。退会してからでないと新規に申し込めないとなると、おおごとだ。退会と同時にASAHIネットに取り次ぎ申し込みをしても、NTTのコンサルを受けて工事日が決まり、実際に工事が終わるまで、の数週間はネットに繋げなくなる。
 やはり、ASAHIネットから無料キャンペーンを申し込むのは事実上無理であることがわかった。ならば、別のプロバイダから申し込んで、工事で現光ケーブルをそのまま使えるように手配すればいい。そうなると、コスト面から「500円で光」のBB.exciteなのだ。BB.exciteのページでFAQを見てみると、「現用の光ケーブルをそのまま使って新規扱いとなるかどうかはNTTの判断になるので、NTTに問い合わせてほしい」という趣旨のことが書かれていた。
 この方法でハイパーファミリーが開通すれば、ASAHIネットには切替の連絡なども全く不要で、今まで通り使い続けられることも確認した。

 なんだか毎回「工事費タダ乗り」ばかりで申し訳ないが、こちらも財政上、万単位の出費は許可されないから、まずはNTTに現用の光ファイバで、ニューファミリーと、ハイパーファミリーを切り替えられないか聞いてみた。
 問い合わせた相手は、ニューファミリーの導入の時にお世話になった、NTT神奈川の営業課長、Hさんだ。メールを出してみたが1週間経っても返事がないので、電話してみた。すると、H課長本人が出られたが、すでに部署を異動していて、現在は法人営業をしているとのこと。普段は別の所で仕事をしているが、たまたまその日は前の電話の場所にいた、ということだ。メールの件は、たまたま1週間ほど社に戻らなくて見られていないとのことだった。
 担当が違うにもかかわらず、いろいろと質問に丁寧に答えていただいた。Q&A風に要約すると、
GXK「現在のプロバイダとは別のプロバイダと新規に契約して、そのプロバイダの工事費無料キャンペーンを使って、新規でハイパーファミリーを契約し、同じ光ケーブルを使って、ニューファミリーの解約とハイパーファミリーの開通を同時に行ないたいが、可能ですか? 申し上げづらいのですが、『回線変更』ではとても工事費が高くて…」
H課長「構内配線をそのままに、プロバイダの工事費無料キャンペーンを利用して、ニューファミリー→ハイパーファミリーの変更は可能だと思います。同時に可能かどうかは、工事担当者との話し合いになります。ただ、プロバイダにどう情報を伝えるかが問題です。どこかプロバイダに申込はしましたか?」
GXK「まだ申込も問合せもしていませんが、Exciteが候補です。」
H課長「まだであれば、申し込む際に、備考欄等があると思いますので、
『構内配線を張替えずニューファミリーの解約とハイパーファミリーの新規工事を行ないたい』
『回線断はなるべく短時間にしたい』
旨を書いて、NTTに伝えてもらうといいと思います。NTTへ伝えるのは116でもかまいません。」
GXK「116は申し込み専用で、工事の詳細はわからないのでは? NTTからコンサルテーションが来た時に話した方がいいのではないでしょうか?」
H課長「NTTから電話コンサルが来た時にも、その旨を伝えて下さい。116番でも申し込み受付と、それをサポートする部隊がいるので、工事の技術的な内容を聞いても大丈夫なようになっています。」

ということだった。ここまでの情報を得て、乗り換えるかどうかを検討することにする。
□ 2-2 乗換え手順2…Excite取次ぎ申込とキャンペーンの質問

 NTTでは、この抜け道的な工事費無料キャンペーン利用について、特に「してはいけない」、ということではないらしい。あとは、構内配線を張り替えずに済ませられるか、と、ニューファミリー停止とハイパーファミリー開通に回線断をほとんど挟まずに工事ができるか、という点だが、これもできないわけではないらしいことは分かった。
 ならば、乗り換えるしかない。料金も今まで通りで、工事費もタダ、かかる費用は契約料の\800のみなのだから。BB.Exciteもタダ乗りされないために退会期間の制限、いわゆる「縛り」はあるが、\500/月なら1年加入しても工事費無料におつりが来る。

 よって、乗換えを決断し、BB.ExciteのサイトからNTTへ取次ぎ申込みを行なった。

 申込み後、以下のような質問をした。

質問1
Q&Aにも同様のケースがありましたが、今ひとつよく分からないので、質問させていただきます。Q&Aの「回答」では、「一旦、現在の回線を完全に解約していただき…」「また、フレッツ回線解約後、工事完了までの期間は、サービスを利用できなくなります」とありますが、現在の回線の解約と、工事完了が同日にすることが可能かどうかは、NTTの担当者との交渉次第、という理解でよろしいでしょうか?なるべく「回線断」の時間を短くしたいのです。

質問2
NTTの方から「Exciteさん経由で申し込む時、申し込みページのどこかに備考欄があれば、そこに要望(構内光配線を引き直さずに新たな契約をすること、ニューファミリーからハイパーファミリーへの短時間での切替をしたいこと)を書いておいて下さい」と言われたのですが、取次ぎ申込みの際、そのような欄はありませんでした。NTTにこれを伝えるにはどうしたらいいでしょうか?

 すると、以下のような回答が返ってきた。
  • 同日切替では、NTTに新規とみなされない可能性あり。但し、NTTがOKと言えばOK
  • ケーブルを張替えの有無等、具体的な工事の段取りはNTTと話し合って下さい
  • NTTの取次ぎページに備考欄等はないので、コンサルティングの時に話して下さい
ということだった。
 基本的にはプロバイダは、取次ぎ窓口のみですよ、ということらしい。具体的な工事の内容は、やはり当事者であるNTTでないとわからないだろう。おとなしく「数日〜2週間の間にある」というコンサルティングの電話を待つことにする。
 ところで、構内配線は張替えなしで済むにしても、アクセス線(電話局からマンションMDF内のPDSSまで)はどうするのだろうか? などと考えてしまう。ウチはNTTが総務省から行政指導を受ける前の工事だから、局までは「直収(分岐なし)」のはずだ。とすれば、GE-PONを使うハイパーファミリーでは、途中(柱上または管路)に分岐が入るから、今使っているラインの途中を切ってスプリッターを挿入(局側もGE-PON装置に繋ぎ替え)するか、すでに分岐しているGE-PON用のラインを使うか…
 工事時期にもよるだろうが、コスト的には多分後者だろう。
□ 2-3 乗換え手順3…NTTコンサルの様子

 医者に行っていたり(ケータイ持ってないので会社を出ると連絡がつかないんです…)土日を挟んだりして、Exciteへの申し込みから1週間ほど経って、やっとNTTから電話が来た。前回同様、声の様子からすると若い女性である。以下は、その際の様子である。

NTT「すでにニューファミリーをご契約ですね。それで、今回ハイパーファミリーに変更、ということですね?」
GXK「はい。それで、単に変更ということだと、プロバイダさんのキャンペーンが使えなくなってしまうので、一旦ニューファミリーを解約して、ハイパーファミリーを新規契約する形にしたいのですが。あと、既存の構内配線もそのままにして頂ければ、構内の工事は不要だと思いますがどうでしょうか?」
NTT「分かりました。それでは、ニューファミリーを解約して、ハイパーファミリーの開通を同時に行なうということで。」
GXK同日移行は可能でしょうか?」
NTT「はい、可能です。但し、集合住宅にお住まい、ということで、実際に工事可能かどうかは、現地調査の結果を踏まえて判断させていただくことになります。」
GXK「私の住戸までは既にニューファミリーが引かれている、ということで、集合住宅だからといって、再調査が必要、という理由がよく分かりません。現行のファイバを張り替えないのであれば、調査は必要ないのではないですか?」
NTT「そうですね。確認してみます。調査不要であれば、工事日の方ですが、最短で16営業日必要となりますので、本日からですと2月の中旬以降となります。」
GXK「あれ、NTTさんのHPを見た記憶では、サービス開始が3月中旬以降となっていたような気がするのですが…」
NTT「すみません、お客様の地域の情報を確認してみますね… …あ、大変申し訳ありません、3月7日以降、工事可能です[オイオイ!]。ご希望の日程はいつがよろしいでしょうか?」
GXK「4月1日はどうでしょうか?」
NTT「申し訳ありませんが、システムの関係上、4月の予約はまだ取れません。」
GXK「そうですか。では3月でもかまいませんが。」
NTT「では、先ほどの現場調査が必要かどうかの件を確認して、折り返しお電話いたします。工事日程を決めるのはそれ以降になります。」
GXK「ハイ分かりました。お待ちしています。」
(一旦電話を切って2分ほど経過)
NTT「確認いたしましたところ、申し訳ありませんが、やはり現場調査は必要、とのことでした。現場調査はいつがよろしいでしょうか?」
GXK「早い方がいいんですが、午前中にして下さい。」
NTT「分かりました…(調べてる)…1月中の午前中は既にいっぱいで、2月1日からになります。」
GXK「では2月1日でお願いします。」
NTT「ハイ、お取りしました。なるべく早い時間にお邪魔するようにいたします。工事日の決定は、その調査結果が私の元に上がってきてからとなりますので、調査の日以降にまたご連絡差し上げます。」
GXK「わかりました。ところで、今回の一連の作業で、プロバイダさんの工事費無料キャンペーンは適用になるんですよね? Exciteさんに聞いたところでは、新規と認めるか認めないかは、NTTさんの判断による、ということなのですが…」
NTT「Exciteさんからのデータでは、お客様は無料の対象になっていますよ。NTTからプロバイダ様宛てに、無料の対象になる/ならないという情報はお送りしていませんので、このままで対象になりますよ。無料キャンペーンの費用はプロバイダ様が負担されるので、NTTはExciteさんに工事費の明細をお送りするだけです。お客様のお支払いは、契約料の\840のみです。」
GXK「そうですか。分かりました。」

 なんだか早口で、慌しいことこの上ない。聞きたいことをよくまとめておかないと、聞きそびれる。今回は、話の流れを一旦切って、確かめるようにひとつひとつ向こうの言ったことをこっちの言葉で反復して…とやったがメモを取るヒマもない。
 結局、何故すでに引かれたファイバの上を、プロトコルの異なる信号を通すだけのために調査が必要なのか、そして、キャンペーンの適用とするか否かを決めているのは、このコンサルティングに出てくるお姉さんと現場調査の結果なのか? イマイチよく分からないままだ。
 ともあれ、調査に問題がなければ適用にはなりそうなので、このまま現場調査を待つことにする。
□ 2-4 乗換え手順4…現場調査の様子

 この時点でNTT東から、既存のニューファミリー契約者がハイパーファミリーに乗り換える場合の工事費割引や、1ヶ月間の接続料(ONU・屋内配線利用料含む)無料の発表があった。これを使えば実質負担がほぼ無料になるようだが、もう申し込んでしまったものを、今さらゴチャゴチャいじりまわすのも、NTTやプロバイダにとって迷惑な話なので、やめておくことにする。まったく、何でもよく考えずに慌ててやるとこういうことになる、という見本みたいです。皆様におかれましては、真似されることのなきよう…。
 それにしても、ONUや屋内配線の使用料まで無料というのは太っ腹だ。やはり既存契約者からのブーイングが多かったのだろうか?
 さて、現場調査の2月1日がやってきた。前回が2003年の9月1日だったから、1年5ヶ月ぶりだ。サービスが変わるたびに何度もやりたくはないが…。
 朝、9時15分頃に「これから行きます」と電話があり、5分も経たないうちに玄関まで来られた。管理人さんから呼ばれて慌てて下に降りて行くと、協和エクシオの人が既にMDFを開けていた。若い(といっても30代後半)人が責任者(Aさん)1人で、50過ぎくらいのおじさんが2人だ(うち1人の方は待機されていたので、話したのをBさんとします)。以下、挨拶の後の様子である。
[今回は、あっという間に終わってしまったので、写真はありません]

MDFを開けて、3人で話し込む。
GXK「(かくかくしかじか=これまでの経緯を説明)既にニューファミリーを使っていますので、既存の構内配線を残して、一旦ニューファミリーを解約、直後にハイパーファミリーを接続としたいのですが…」
Aさん「え、全くの新規と聞いてるんですが、そうですか…確認します。」
(ケータイを取り出してNTT?に確認する)
Bさん(PDSSから出ているケーブルを指差しながら)
「これがおたくさんまで行ってるんですね?」
GXK「ええ、そうです。」
Aさん「確認取れました。構内配線は変更しないで良さそうですから、ONUを見せていただけますか?」
Bさん(もう一度念を押すように)「これが行ってるんですね?」
GXK「はい。私、工事に立ち会いましたから間違いありません。」
(やっとBさん納得の様子。)
AさんはMDFを前に何かメモしたりしている。ここからはしばらくBさんと行動する。
GXK「うちの階のIDFはご覧になりますか?」
Bさん「ハイ、見せてください。ニューファミリーでは速度的に不足ですか?」
GXK「いえいえ、全くそんなことはないんですが、ひかり電話もそうですが、将来供給されるサービスが、ハイパーファミリーユーザーが対象になると見込んでまして…」
Bさん「ああ、そうですね。ちょっと費用はかかりますがね。」
BさんはIDFを前に何かメモしたりデジカメで写真を撮ったりしている。終わってIDFを閉め、部屋に向かう。
GXK「ここです。ケーブルは(奥まった引出し口を指差しながら)あそこから出ています。写真、撮れますか?」
Bさん「ええ、大丈夫です。(写真を撮った後)ONUはどこですか?」
GXK「あれです(と、木の板に余長を丸めて一緒に固定したのを指差し)」
Bさん「ああ、壁掛けか、いいですねぇ」(と言いながらまたパチリ)
間もなく下から上がってきたAさんも合流し、2人で撮った写真を見たり、部屋全体の見取り図を書いたりしている。この間、5分ほど。
Aさん「これで終了です。どうも、お邪魔しました。」(あれれ、もう終わり…)
帰る二人を玄関まで送りつつ、質問を2・3…
GXK「ニューファミリーとハイパーファミリーはすぐに切替はできるのですか?」
Bさん「電話線は無瞬断で切替できますが、光はまだそこまでできないんですよ。」
GXK「無瞬断で、とはいいません。それは私も無理だと思います。数時間程度であれば大丈夫です。実際どの程度の時間で切り替わるのでしょう?」
Bさん「まぁ、(工事)当日になってみないとわからないところもありますが、2時間程度でしょう。」
GXK「それなら全く問題はありません。ところで、局からPDSSまでのアクセス線は変更になるのですか? 局内のみの工事なんでしょうか?」
Aさん「その時になってみないと分かりません。線番が変更になることもあるので、その場合はそちら(アクセス線)も工事になります」

 これで3人は次の依頼先に向かわれた。上流側の配線を変更するかどうかわからないということから推察するに、「調査」というのは、あくまでもPDSSから内側(構内側)のものらしい。アクセス線まではNTTが管理しているのだろう。
 アクセス線側も工事、とは、なんだか大変なことになりそうだ。またバケット車が大勢で来てやるのだろうか? 私が工事するわけではないのだが、ちょっと不安が残りつつ、工事日の連絡を待つことにする。
□ 2-5 乗換え手順5…工事日に関するコンサル

 実は現場調査の当日夕方、家に電話があったらしいのだが、私が外出していたりして、数日経ってから連絡が取れた。

NTT「調査の結果、ONUの交換と外のケーブルの工事を行なうこととなりました。3月7日以降工事可能という結果ですが、ご都合はいつがよろしいでしょうか?」
GXK「『外の工事』とおっしゃいましたが、その工事はどういった内容なのでしょうか?」
NTT「詳細は私もわかりかねますので、確認して、折り返しお電話いたします。」
GXK「ハイ、お待ちしております。」
5分ほどして再び電話
NTT「先ほどの工事の内容の件ですが、現場調査を行なった者に確認いたしましたところ、ONUの交換と、屋外ケーブルの交換が場合によっては必要、ということでした。」
GXK「屋外、というのはMDFまでのケーブルのことですか? 調査に来られた方は、構内ケーブルの引き直しは必要なく、ONUの交換は必要だと言っておられましたが、MDFより外のケーブルはわからない、と言っておられました。『場合によっては』というのは、現場の状況を見て決める、ということでしょうか?」
NTT「はい、屋外というのはMDFまでです。場合によっては、というのは状況を見て、ということです。」
GXK「屋外ケーブルの交換というのは、新たにケーブルを引くということですか?」
NTT「詳細は分かりませんが、そういうこともあるかと思います。調べて引きなおす必要が無ければ、新たに引かないこともあります。」
GXK「分かりました。こういうことをいちいちお尋ねするのは、MDFを開けるのに管理人さんのカギが必要なので、工事内容によって、午前中でないとできないことがあるためです。」
NTT「分かりました。調査の際もそう言っておられましたね。」
GXK「それから、くどいようなのですが、Exciteさんのキャンペーンは適用になりますね? Exciteさんに質問すると、NTTさんの判断によります、と言われてしまうので…」(同じ事を二度聞いてる!)
NTT「はい、一旦ニューファミリーを解約して、新しくハイパーファミリーを契約する、という形ですので、微妙ですが『新規』と判断させていただきます。工事費もExciteさんに請求いたします。」
GXK「よろしくお願いします。それから、切断時間はどの程度になりますか?」
NTT「工事の内容にも依りますが、1時間半〜2時間程度はかかると聞いています。」
GXK「その程度であればかまいません。お聞きしてばかりで申し訳ないですが、NTTさんのHPで見ますと、私の地域ではまだひかり電話は受付が始まっていないようなのですが、工事までに申し込めないのでしょうか?」
NTT「お客様の地域は、確かにまだサービスが開始されておりませんので、現時点でのお申込みは承れません。申し訳ありませんが、サービスが開始されてから、お申込み下さい。工事日はいつがよろしいでしょうか?」
GXK「7日の午前中はどうですか?」
NTT「7日の午前中は既に埋まっております。それ以降なら午前中は空いています。」
GXK「では、11日の午前中にして下さい。」
NTT「ハイ、11日午前中でお取しました。工事の時間はおおむね9時半から11時頃までです。お邪魔する前に、電話でご連絡いたします。」
GXK「分かりました。いろいろとお答えいただき、ありがとうございました。」

 これで工事まで約1ヶ月、何もすることがない。NTT東のひかり電話は、同時に工事すれば工事費無料だが、優先制御をするためか、ONUにはNTT専用の「ひかり電話装置」しかつなげない。また、常時NTTとVoIPで1セッション取られてしまうのか、等の点も不明のため、また慌てて申し込んで「シマッタ」にならないよう、ここは踏み止まることにする。
□ 2-6 おまけ…ニューファミリー最後の速度測定

 ニューファミリーも残り3週間ほどとなったある日、局の工事が行なわれて接続が一時切れた。以前から、この手の局内工事が行なわれた後は、速度が上がることが多いので、ニューファミリー最後の速度測定をやってみた。
 右図Fig.2-1がその結果だ(マシンなど機器の構成は開通直後と同じ)。これ以前には70Mbpsがやっとだったので、かなり高速になっている。過去にこんな速さが出たことはない。工事はこの前日に行なわれた。定期的に上流の回線を増強しているのだろう。ログを見たら、切断時間は数分だった。
 ところで、これだけのスピードが出ると、ハイパーファミリーに移行する必要があるのか、自分でも疑問になってくる。工事をしたのは総務省の行政指導前だから、直収(局から下流は分岐なし)のはずだ。
05年02月19日 05時53分に測定 82.44Mbps
Fig.2-1

05年02月19日 05時53分に測定

 これまでにも書いたように、スピードだけを判断基準にすれば、この決断は誤りかもしれないが、いずれ始まる映像配信や、既に行なわれている優先度制御付きのIP電話(ひかり電話)サービスなどのことを考えれば、移行しておいて間違いはないだろう。値段も変わらないことだし。